老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、「厚生年金は支払った保険料総額で計算できないのか」という疑問について解説します。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:年金額は「平均月収」ではなく、払った保険料総額で計算できないのでしょうか?
「年金額の説明で『平均月収○万円なら将来の年金は○万円』といわれても、実感が湧きません。これまで支払った厚生年金保険料の総額で説明したほうが分かりやすいのではないでしょうか。同じ保険料総額でも加入期間によって受給額が変わるなら、期間ごとの目安を示してほしいです」(年金不信者さん)

A:厚生年金は保険料総額ではなく、「平均標準報酬額」と「加入期間」をもとに計算する仕組みです
「自分がいくら保険料を払ったのか」で将来の年金額が決まるほうが、貯蓄のようで分かりやすいと感じる人は少なくありません。
しかし、厚生年金では保険料率が時代によって変化してきたため、同じ給与でも時期によって支払う保険料が異なります。そのため、単純に保険料総額だけで年金額を計算することは難しい仕組みになっています。
例えば、標準報酬月額47万円の場合でも、昭和60年代の保険料率と現在の保険料率では大きな違いがあります。また、平成15年からは賞与にも厚生年金保険料がかかるようになりました。
このため、同じ保険料総額が1000万円だったとしても、高い給与で短期間加入した人、比較的低い給与で長期間加入した人では、年金額の考え方が異なります。
厚生年金では、過去の給与を現在の価値に換算する「再評価率」を用いて計算します。
例えば、昭和時代の月収20万円を、そのまま現在の20万円として扱うのではなく、現在の賃金水準に合わせて評価し直します。
そのうえで、
・生涯の平均標準報酬額(平均月収や平均賞与)
・厚生年金の加入期間
をもとに年金額が計算されます。
このような仕組みにすることで、物価や賃金水準の変化を反映できるほか、加入時期による不公平も抑えられます。
そのため、厚生年金は「支払った保険料の総額」ではなく、「平均標準報酬額」と「加入期間」を使って計算するほうが、制度全体としては分かりやすく、公平な仕組みといえるでしょう。
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