人間関係

「部下からのプレッシャーにもう耐えられない……」上司を追い詰める“逆パワハラ”の原因と対処法

「逆パワハラ」という、部下から上司へのハラスメントが注目されています。上司という立場から声を上げにくく、ストレスを抱え込む人もいるかもしれません。では、問題のある部下に対して、どう対処すればいいのでしょうか。※サムネイル画像:PIXTA

ひかり

ひかり

恋愛・人間関係 ガイド

コラムニスト。夕刊フジでコラム連載をきっかけにコラムニストに。数々のメディアでコラムを掲載している。著書に「“子供おばさん”にならない、幸せな生き方」(ステップモア)、書籍『愛される人の境界線 -「子供おばさん」から「大人女子」に変わる方法』(KADOKAWA/中経出版)など。

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パワハラは「上司から部下」だけに行われるものではない(画像:PIXTA)
パワハラは「上司から部下」だけに行われるものではない(画像:PIXTA)

部下から上司への「逆パワハラ」が増えています。「上司よりも知識があることで、見下す部下」「少し注意しただけなのに、『パワハラだから訴える』と言い出す部下」などもいると聞きます。

こういった問題ある部下に対して、どう対処していけばいいのでしょうか?

目次

「逆パワハラ」って何?

逆パワハラには、どんなケースがあるのでしょうか。

主にこの3つのパターンがあります。

  • 部下に仕事をお願いしても、反論し、従ってくれない
  • 注意をしたら、部下が「パワハラだ」と言い出し、訴えようとする
  • 部下が集団になって協力せず、上司の業務を円滑に遂行できないようにする

正当な意見表明や問題提起なら問題ないのですが、継続的に悪意をもって上司を追い込んでいる場合は、悪質です。

なぜ、こんな問題行動を取る部下が出てきてしまうのでしょうか。逆パワハラが起こりやすい背景には、主に以下の5つの要因が考えられます。

1. 社内教育の不足

社員がパワハラになる言動と、ならない言動を理解していないため、ちょっとしたことでも「パワハラだ」と言い出し、言われた方は萎縮してしまう。

一昔前とは違い、会社全体で「人として一人前になるための教育」をしないで、ただただ業務だけをやらせるところが少なくないため、上司も部下も、人として未熟なまま成長しない人もいる。

2. 人手不足で、部下を辞めさせられない状況

人手が足りず、部下がいないと業務が回らない状況で辞められたら困るため、問題のある部下に対しても注意しにくい。

3. IT系の能力や知識は、部下の方が優れていることもある

IT化により、経験がものをいう業務ばかりではなくなり、部下の方が上司よりも能力値が上回っていたり、特定の部下にしかできない業務があったりすると、部下が上司を蔑(さげす)んでしまうことがある。

4. 部下への指導力の低下

上司が「部下とのトラブルは出世に響く」と考え、部下の管理、指導をまともにしない“事なかれ主義”でいると、部下の側も上司を軽視するようになり、関係が悪化する。

5. 会社が企業として成り立っていない

「上司、部下がそれぞれの立場を理解し、共に協力し合って業務を無事に遂行する」という、“組織として機能するための最低限の大原則”が守られていない。

例えば、4のような「事なかれ主義の上司」の場合は、上司の改心が必要ですが、それ以外の要因に関しては、単なる「上司と部下の問題」だけとは言えず、むしろ企業側に問題がある場合もあります。それについては、後ほど解説します。

逆パワハラの対処法

逆パワハラの部下がいたとき、上司ができる対処法には、主にこの2つです。

  • 自分の上長に相談し、組織的に対応してもらう
  • 企業の相談窓口、もしくは、都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」に相談する

また、逆パワハラをされたときは、「証拠を残す」ことも大切です。この2つは行っておくといいでしょう。

  • 極力、メールやチャットツールでやりとりをして、記録を残すようにする
  • 口頭でのトラブルの場合は、速やかに時系列などを入れて書面化しておく

さらに、明確な証拠を残したい場合は、問題ある部下と話すときは、「ボイスレコーダーで音声を録音する」といった対策をとっておくといいかもしれません。

「そんな、大げさな!」と思いがちですが、「言った・言わない」の水掛け論や、部下からの「パワハラだ」という虚偽の主張を防ぐための強力な証拠になり得ます。

録音するときの注意点

録音する場合は、「同意をもらって録音する」パターンと、「隠しながら録音する」パターンの2つがあります。

意外と前者の方が、相手も言い方に気を付けるので、問題が起こりにくくなる場合もあります。つまり、「相手を陥れるための録音」ではなく、「問題を起こらないようにするための録音」なのです。その代わり、上司自身も言い方には気をつけなくてはいけません。

部下へ録音することの説明をするときは、「今後の進め方について、後から『言った・言わない』で行き違いが起きるのはよくないから、正確に記録を残すために録音しながら話しましょう」という言い方にすれば、受け入れてもらえることは多いもの。実際に、音声をAIで文字起こしして議事録化することも可能なので、業務の一環だと伝えてもいいでしょう。

上司にばかり任せず、会社側がやるべきこと

逆パワハラは、上司が1人で対処するのは、難しいものです。しかも、会社側がうまく組織作りをしていないから、こういったトラブルが起こるケースも少なくありません。

会社側は、逆パワハラに限らず、問題のある社員によって職場が混乱することを防ぐためにも、最低限、この3つの対策はすべきです。

1. 就業規則・評価制度などのルールを設け、全社員に明示する

規律を乱す部下に対して、会社が明確なペナルティを科せる仕組みを機能させ、上司の個人的な感情ではなく、「会社のシステムとして機械的に対処する」仕組みにする。これがあると、部下が上司からの適切な業務命令に対し、何度も拒否することはできなくなります。

2. 管理職には「部下を管理・指導」するだけでなく、相応の権限を与える

単に「指導」だけだと、部下が従わなくなることもあるため、人事評価権、業務配置権、賞罰の提案権など、相応の権限を上司が持っていた方がいいことも多いです。

その代わり、会社側は“権限を与えるポジション”には、単に仕事の能力だけでなく、きちんと人格も見て、問題のない人物を選ばないと、むしろトラブルが増えます。

3. トラブルの際には、中立に事実調査を行う体制を作る

ハラスメントの訴えなどがあった際には、人事や外部の弁護士を交えた「第三者委員会」が中立に事実調査を行う体制を作ることも重要です。

もし部下の逆パワハラ問題が起こったときに、会社がこのような対応をせずに、上司ばかりに対処を任せる場合、そのような会社には見切りをつけた方が身のためであることもあります。

逆パワハラをする部下には問題がありますし、上司側も取るべき対策はあります。でも、それ以上に、そもそもそういったトラブルが起こったときに、会社がきちんと対処できるような組織作りをしていないことが一番の問題なのです。

職場の人間関係が理由で退職する人は多いもの。それだけ、仕事をしていて、一番消耗するのが、「人間関係の問題」なのです。

会社によって、社風もルールも環境も随分、変わってきます。長く働き続けるには、業務内容や待遇だけでなく、「どんな経営者で、どういった組織作りをしているのか」という部分が重要である、ということなのでしょうね。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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