
「ハルメク生きかた上手研究所」の調査によると、50~83歳女性で犬猫いずれかを飼育している割合は16.4%。これから飼いたいと思っている人も一定数存在し、「犬を飼いたい」人は17.9%、「猫を飼いたい」人は10.7%います。また、50代ではそれぞれ25.8%、18.0%と、上の世代より高い結果となっています。
50代から「動物を飼いたい」と思う人は、意外と多くいます。ただ、動物を飼うのは幸せなことがある分、大変なこともいろいろと出てきます。“飼い主がいないと生きていけない存在”の命を預かる行為である分、責任が伴うからです。
今後、動物を飼いたいと思う人が知っておくべき、「生き物と暮らす」ことの現実を紹介します。
ペットは「愛を増やしてくれる存在」
なぜ、中高年になって動物を家族にしたいと思う人が出てくるのでしょうか。「中高年」といっても、独身なのか、既婚なのか、子どもの有無、子育ての最中なのかなどによって生活環境が違うので、飼いたくなる理由は変わってきます。
ただ、どの環境の人にも当てはまることが多いのは、「癒しや安らぎがほしい」という理由です。
動物はかわいいのはもちろんのこと、人間にはない純粋さ、自然な振る舞いがあり、日ごろ、自分らしさを失っている人ほど共に暮らすことでハッとさせられることがあります。
また、他の人と分かり合えない思いがあっても、「ペットとなら分かり合える気がする」と感じ、ペットが“心のよりどころになる存在”となることは少なくありません。
そのほか、子育ての最中だと、「子どもの教育のため」に動物を飼うことを考える家庭があったり、逆に子どもが独立したから、「夫婦間の潤滑油(夫婦のコミュニケーションを増やすこと)」のために飼い始めたりする人もいます。
飼ってみた結果、ペットという“守るべき、愛する存在”ができたことで、子どもに責任感が芽生えたり、家族間、夫婦間で会話が増えたりするケースは少なくありません。
それだけペットは、人間にとって“愛を増やしてくれる存在”になり得ます。動物から愛されるだけでなく、自分も愛することで、「自己の内側から愛が増えていく」ことが実感できますしね。
動物を飼うのは簡単ではない
動物を飼うことは、「かわいい」だけでは済まないほど、労力的にも経済面的にも大変なことが多いものです。
飼う動物にもよりますが、主にこの5つの問題は出てきやすいです。
- 長期間の外出や旅行ができない
- 抜け毛やにおい、いたずらなどで部屋の環境が悪化する
- 鳴き声で静けさが奪われる(近所迷惑になる)
- ペットの病気やけがで医療費がかかる
- ペットロスで喪失感に襲われる
筆者は、一人暮らしでウサギを飼っていたことがあります。その後は、セキセイインコと共に暮らしました。
ウサギを飼っていたときは、医療費がとにかくかかりました。ウサギが前足を骨折してしまい、手術後の経過が悪くて壊死してしまったため切断することになり、動物病院での入院と通院で、トータルで60万円くらいになりました。
セキセイインコは、6年半ほど共に幸せな時間を過ごしましたが、今年の3月末に他界しました。筆者をつがいと思ってくれて、たくさんの愛情をくれたインコだったので、1カ月以上ペットロスで苦しみました。
今も時々思い出しては涙が出ますし、「人生において、こんな苦しみはなかなかない」と思うほどの喪失感です。
だからといって、「飼わなきゃよかった」とは全く思っていないし、むしろ「幸せな時間をありがとう」という感謝の気持ちでいっぱいです。
動物を飼うことは、“生易しいこと”ではありません。その覚悟がなければ、飼わない方が人間にとっても動物にとっても幸せかもしれません。
特に50代から飼う場合は、自分よりも長生きするような動物は飼えなくなるし、老後の経済状況も考慮しなくてはいけなくなります。
ペットロスで自殺をする人もいる
動物を飼ったことがない人には理解しがたいかもしれませんが、「ペットロス」は侮れないものです。高齢者の中には、ペットに先立たれてしまって後追い自殺をしてしまう人もいると聞きます。
飼い主にとっては、単なる「動物の死」ではなく、「家族であり、子どもであり、恋人であり、友達でもある存在の死」なのです。
現実的に、その子がいなくなったことで、家の雰囲気と生活のリズムがガラリと変わり、当たり前のようにあった愛情と喜び、楽しさを失うため、ダメージが大きいのです。
特に「一人暮らし」「1匹(羽)飼い」の場合は、「家族で飼う」「多頭飼い」以上に、その1匹の動物から与えられる影響は大きいため、想像を絶する孤独感と喪失感に苦しむものだということは、理解しておくといいでしょう。
動物が教えてくれること
動物と人間の出会いは、人間同士の出会いと同様、「運命的なものである」と言われています。
たくさんの動物と人間がいる中で出会い、共に過ごす関係になるのは、何かしらの「ご縁と意味がある」といってもいいでしょう。
筆者は初めてセキセイインコを飼ったことで、「鳥は想像以上に賢い動物であること」を知ったし、自然体の愛鳥と共に暮らすことで、「自分の心と体に正直に生きる大切さ」を学びました。
さらに、愛鳥の死は、「死生観を見つめ直す」きっかけにもなりました。
愛鳥の亡骸(なきがら)を見たときには、「まるで抜け殻のようだ」と感じました。また、同時に「肉体が死んでも、魂は永遠に続く」ことを実感したんです。今は、“魂の状態”でそばにいてくれていると感じています。
愛鳥が亡くなってしばらくは、喪失感がひどく、悲しみに打ちひしがれましたが、ようやく今は、「生きている私と他界した愛鳥による“新たな関係”が始まったのだ」と考えられるようになりました。
「人生が豊かになる経験」ができる
結局、ペットロスで苦しむということは、それだけ「共に過ごした時間が幸せだった」という証拠です。そうでなければ、こんなにつらい思いにはならないでしょう。
ペットを飼う行為は、「コスパ」「タイパ」はよくありません。でも、「人生を豊かにする経験」ができることが多いです。
その素晴らしさを知っている人ほど、タイミング(環境と気持ち、出会いなど)が整ったときに、動物を家族として迎えることは多いのです。
動物を最期まで面倒を見る覚悟を持てる人は、愛するペットとの「かけがえのない時間」を過ごしてみるのも、いいかもしれません。
<参考>
・「【2025年調査】シニア世代と「ペット」の実態をレポート!市場拡大につながる戦略的アイデアとは」(ハルメク生きかた上手研究所)







