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厚底シューズだけではない。マラソン世界記録の裏に「走りながらバナナ10本分の糖質補給」と特許の存在

2026年4月26日に行われたロンドンマラソンで、セバスチャン・サウェ選手が1時間59分30秒という驚異的なタイムで世界記録を更新しました。この記録はシューズの進化がもたらした側面もありますが、近年大きく発展しているレース中の補給戦略も大きいと考えられます。※画像:筆者作成

藤枝 秀幸

藤枝 秀幸

弁理士 ガイド

弁理士

弁理士・行政書士。IT会社等でのプログラマ・SEとしてのシステム開発等を経て、2009年に当事務所(現:藤枝知財法務事務所)を開業。現在はIT分野やエンタメ分野のクライアント様を中心に契約書業務や知的財産業務を日々行わせて頂いております。

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マラソン世界記録の裏にある常識外の補給戦略とそれを可能にした特許
マラソン世界記録の裏にある常識外の補給戦略とそれを可能にした特許とは ※画像:筆者作成

2026年4月26日に行われたロンドンマラソンで、セバスチャン・サウェ選手が1時間59分30秒という驚きのタイムを打ち出しました。サウェ選手が履いていた「adidas」の最新厚底シューズがこの快挙を支えたことは間違いありませんが、実は走行中の「補給食」も大きな役割を果たしたと考えられるのです。これまでにないほど多くの糖質摂取を可能にしたモルテン社の特許技術について、弁理士である筆者が解説します。

とてつもない記録が生まれた

2026年4月26日に行われたロンドンマラソンで、ケニアのセバスチャン・サウェ選手がマラソンの世界記録を更新し、記録対象となる公式大会で史上初めて2時間を切る、1時間59分30秒という驚異的なタイムを打ち出しました。これは42.195km中ずっと100m約17秒ほどの速度で走り続けるというとてつもない記録です。

マラソンの世界記録は、重松森雄さんが日本人として最後の世界記録となる2時間12分0秒を1965年に出して以降、どんどん記録が更新されていきました。特に、2007年に長距離界の「皇帝」ハイレ・ゲブレシラシエ選手(エチオピア)が2時間4分26秒という世界記録を出してからは、ケニア、エチオピアの東アフリカのランナーによって頻繁に世界記録が更新されるようになりました。

そしてNIKEの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」の登場により、2018年にエリウド・キプチョゲ選手(ケニア)によって2時間1分39秒というタイムで世界記録が大幅に更新され、今回のサウェ選手の2時間切りの記録更新となったという次第です。

走行中にバナナ10本分の糖質を摂取

今回サウェ選手はadidasの厚底シューズを履いて世界記録を出したわけですが、そうしたNIKEやadidasなど各メーカーの厚底シューズの影響で大きく記録が更新されるようになったのは間違いないところです。その一方、マラソンを走っている最中のエネルギー補給戦略とそれを支える補給食や技術というものも近年非常に発達しており、今回の世界記録に及ぼした影響は非常に大きいと考えられます。

実際にサウェ選手のコーチが、イギリスの新聞『ガーディアン』の取材に対して、今回の世界記録更新が、「シューズと適切な補給のおかげである」と語っています。

今回サウェ選手がマラソンを走っている最中に摂取していた補給食は、スウェーデンに本社があるモルテン社の製品なのですが、モルテン社は、2025年4月から1年間かけてケニアへ6回出張し、サウェ選手に帯同して補給戦略を作り上げるなどの大掛かりなサポートをしたことを公式プレスリリースにて明かしています。

そうしたサポートにより作り上げた補給戦略によって、サウェ選手は今回のロンドンマラソンで走っている最中にバナナ10本分以上の糖質を摂取するという、これまでのマラソンの常識では考えられないほど非常に多くの糖質を摂取しました。

通常は、これほどの糖質を走りながら摂取しようとしても胃腸などの消化器官が不調を起こしてかえってパフォーマンスを落としてしまうところなのですが、サウェ選手は何らパフォーマンスを落とすことなく、むしろ後半にかけてペースアップをするという驚異的な走りで世界記録を出しました。

このような常識外の補給戦略を可能にしたのは、モルテン社の「特許技術」によるものと考えられます。

では、サウェ選手の常識外の補給戦略とは具体的にどういったものだったのでしょうか。そしてそれを可能にしたモルテン社の特許技術とはどのようなものなのでしょうか。

>次ページ:サウェ選手の補給戦略

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