コンタクトをしたまま目薬をさすのは危険? 点眼薬の防腐剤リスクと安全な選び方

【薬学部教授が解説】花粉症の目薬はコンタクトをしたまま使うと危険な場合があります。判断の目安は、防腐剤「ベンザルコニウム塩化物」を含むかどうかです。角膜障害のリスクと、安全な点眼薬の選び方、代表的な薬剤名を分かりやすく解説します。(※画像:Shutterstock.com)

阿部 和穂

阿部 和穂

脳科学・医薬 ガイド

薬剤師

東京大学薬学部卒業、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員、星薬科大学講師を経て、武蔵野大学薬学部教授。薬学博士。専門は脳科学と医薬。

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点眼薬をさす人
コンタクトレンズをつけたまま点眼薬をさすリスクとは?

本格的に花粉が飛散するシーズンとなり、抗アレルギー成分を配合した点眼薬(目薬)が手放せない方も多いことでしょう。

コンタクトレンズを使用している方は、レンズをつけたまま目薬をさしてもいいのか、判断に迷うことがあるかもしれません。病院やドラッグストアで薬剤師に相談すれば回答は得られますが、その「理由」まで詳しく説明されることは少ないものです。

ここでは、コンタクトユーザーが知っておくべき点眼薬のリスクと注意点の基本的な考え方を解説します。

花粉症で目が痒くなるのはなぜ? 点眼薬が効くメカニズム

花粉症に伴うアレルギー性結膜炎は、花粉が目に入ることで引き起こされます。目に花粉が侵入するとアレルギー反応が起こり、結膜の局所でヒスタミンなどの炎症反応を生じる物質(専門的には「ケミカルメディエーター」と呼ばれます)が放出されます。これらが神経や血管を刺激することで、目の痒み、充血、異物感、流涙といったつらい症状が現れるのです。

花粉症対策として用いられる抗アレルギー点眼薬は、ヒスタミンの働きを抑えたり、ケミカルメディエーターが放出(遊離)されるのを防いだりすることで、アレルギー症状を緩和します。花粉症そのものを完治させるわけではありませんが、花粉の飛散シーズンを快適に過ごすための大きな助けとなります。

ソフトコンタクトレンズは危険!? 防腐剤による角膜障害のリスクも

コンタクトレンズをつけたまま点眼してよいかどうかはケースバイケースです。最大の判断基準は、その目薬に防腐剤として「ベンザルコニウム塩化物」が含まれているか否かを見るのがよいでしょう。

ベンザルコニウム塩化物は「逆性石鹸」の一種としても知られており、特にソフトコンタクトレンズに吸着されやすいという性質を持っています。

もし、この防腐剤を含む目薬をソフトコンタクトレンズをつけたまま点眼すると、レンズに吸着された成分が長時間にわたって目の角膜に接触し続けることになります。その結果、角膜に傷がつくなどの「角膜障害」を引き起こす恐れがあるのです。この組み合わせは絶対に避けるべきです。

ハードコンタクトレンズなら大丈夫? 目を守るための2つのポイント

ハードコンタクトレンズは、ソフトコンタクトレンズに比べればベンザルコニウム塩化物を吸着しにくい性質があります。そのため、装着したまま点眼しても問題ないとされる場合もありますが、製品ごとに防腐剤の含有量が異なるため、一概に「全て大丈夫」とは言い切れません。

コンタクトレンズの使用中に安全に目薬を使うための選択肢は、以下の2点に集約されます。

  • ソフト・ハードのタイプを問わず、一度コンタクトレンズを外してから点眼する
  • ベンザルコニウム塩化物を含まない(防腐剤フリー)製品を選ぶ

防腐剤を含まない主な点眼薬……「アレジオン点眼液」「ケトチフェンPF点眼液」など

参考までに、医療用の抗アレルギー点眼薬の中で、ベンザルコニウム塩化物を含まない主な製品を挙げます。

  • 「アレジオン点眼液」ならびに「アレジオンLX点眼液」 (そのジェネリック医薬品の「エピナスチン塩酸塩点眼液」も含む)
  • 「ケトチフェンPF点眼液」 (※注意:「ケトチフェン点眼液」や、その先発品である「ザジテン点眼液」には防腐剤が含まれています)

また、ケトチフェンPF点眼液の名称にも含まれる「PF」は、「Preservative Free(防腐剤なし)」の略です。知っておくと、1つの目安になるでしょう。

市販の抗アレルギー点眼薬は非常に多くの種類が販売されています。購入する際は、ご自身でパッケージ裏の成分表(添加物欄)を確認するか、薬剤師や登録販売者に「コンタクトレンズを装着したまま点眼できるか」を必ず確認するようにしましょう。

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