エントリークラス? ミドルクラス? ニコン D5000レビュー
ニコンのD5000はエントリークラスとされているが、やや風変わりな製品だ。スペック的にはエントリークラスというよりも、ミドルクラスのそれに近い。そして、サイズもほぼミドルクラスのそれだ。D5000 レンズキット
エントリークラスというにはやや機能がおごっている。まず、特徴的なバリアングルの液晶ディスプレイが搭載されている。そして、24fpsではあるが720Pの動画撮影にも対応しているのだ。
しかし、D5000のエントリークラスらしからぬ部分はそれだけではない。そのあたりを中心に見ていくとしよう。
ライブビュー撮影とバリアングル液晶は相性最高っ
独自のバリアングル液晶は、被写体に対して視線を上下すればいいという利点がある。
まずは外見としても特徴的なバリアングル液晶ディスプレイを見てみよう。以前のガイド記事にも書いたように、可動式液晶ディスプレイとライブビューでの撮影は最高の相性を持っている。
今回、ニコンが採用したのはオリンパス、パナソニックなどの横開きとも、ソニーのチルト式とも異なる縦開きともいえるタイプの液晶ディスプレイだ。フルに可動し、自分撮りや縦位置での撮影も可能だ。
ライブビュー撮影は安定度から横位置で行われることが多い。横位置のときにレンズと同じ軸を持つこの縦開きの液晶ディスプレイでの撮影はなかなか快適だといえる。
マイクは左肩のロゴの上。性能がいいとはいえないが、外部マイクは使用不可。
規格はMotion JPEGでの撮影、マニュアル設定不可ということもあり、基本的には「動画も撮れる」というレベルのものとなっている。動画撮影をメインに考える機種ではないというのが正直なところだろう。
もちろん、動画撮影時にも液晶ディスプレイを展開して撮影することができる。ローアングルでペットや子供の視線にあわせて撮影することも容易だ。
画質は良好で、現在のデジタル一眼カメラの主戦場である1200万画素クラスのAPS-C搭載機として充分に中級機とも戦えるレベルにある。
エントリークラスとしては巨大なボディが……
その一方で、本体重量は560グラムとエントリークラスとしてはかなりの重量級だ。D60は495グラム、EOS Kiss X3は480グラム、α230は450グラムとなっている。大きさ自体も中級機と見紛うかという大きさだ。組み合わせるレンズにもよるが、やや女性に勧めるには厳しいかなぁ……といったところだ。
ただ、D5000はサイズ的にも中級機レベルだが、機能的にも中級機に近い。たとえば連射時の撮影可能枚数は4枚/秒(D60は3枚/秒、D90で4.5枚/秒)。フォーカスポイントは11点だ(D60が3点、D90が11点)。
ファインダーは倍率、視野率ともにごく普通。
実際に撮影の感覚もボディの質感以外はほとんど中級機を触っているかのようであった。
また、ここ何台かのニコン製デジタル一眼レフに搭載されてきた強力な編集機能もそのまま受け継がれている。赤目補正やトリミング等16種類の項目が用意されている。ちょっとした画像編集ソフトといっていいほどの豊富さだ。
なにを変更するにしても、メニュー画面を経由する必要がある。
これはエントリークラスによくある「操作を集中させることで分かりやすさを優先する」パターンである。このあたりで中級機的なエントリークラスというのをアピールしているのであれば、それは失敗だと個人的には思うのだが……。
野心的なエントリークラスとミドルクラスの中間機
メモリーカードは当然のSDカード。マイクロSDでも問題なく使えた。
D5000はこれまでの「コンパクトデジカメのステップアップ先」とされるエントリークラスではなく、エントリークラスのデジタル一眼レフに飽き足らないユーザーに向けて作られた野心的な製品だ。
エントリークラスのデジタル一眼レフを使ってきたけれども、中級機にはちょっと……という少なくないであろうユーザーをターゲットにしており、その狙いのほとんどがうまく働いている。重量的にはやや不利ではあるが、男性であればはじめてのデジタル一眼レフとしても充分にいけるはずだろう。非常に面白い機種が出てきたということを実感できた。
D5000 実写画像サンプル
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