わさびの理想的な使い方について、All About 暮らしのマナーガイドの諏内えみが解説します。
Q. わさびをしょうゆに溶いて食べるのはマナー違反ですか?
【今回のお悩み】12月は忘年会や親戚との集まりなどでよくお刺身やお寿司を食べるのですが、毎回迷うのがわさびの使い方です。しょうゆに溶いて食べるのが楽で好きなのですが、マナー違反だという声も聞いたことがあります。理想的な食べ方について教えてください。
A. わさびをしょうゆに溶くこと自体は、マナー違反ではありません
忘年会や親戚の集まりが増える12月。お刺身やお寿司の席では「わさびはしょうゆに溶かすと無粋」「通はのせるもの」といった声が聞かれます。主な理由は2つ。わさびそのものの風味を十分に味わいにくくなるから。そして、しょうゆに溶かすと見栄えが落ちるからです。一方で、食の美学者・北大路魯山人は著書の中で「刺身としょうゆとわさびは一体となって味を完成させるもの」という趣旨を記しています。つまり、溶かす溶かさないといった形式の問題ではなく、料理を最もおいしく味わうことが大切で、好みに応じて選べばよい、というのが本質でしょう。
どちらを選ぶにせよ、マナーや作り手への敬意という視点からは、素材の味を活かすよう身に少量添える、しょうゆに溶くならほんのわずかに、と筆者はお伝えしています。
また、わさびと並ぶ存在が“ガリ”。ガリは口直しと考えると、お寿司の上にのせたり、ネタと一緒に食べたりするのは避けたいところ。合間に少量いただくことで、味覚を整え、次の一貫を新鮮に迎えられます。
マナーとは、型にとらわれず、周囲への配慮と美しさを忘れないこと。その姿勢こそが、魯山人の美学とも通じる大人の品格でしょう。








