『中学受験で後悔したこと 失敗しない「頭・時間・お金」の使い方』(長谷川智也著)では、東大卒のプロ家庭教師である筆者が、中学受験における“先輩”たちの失敗談に学び、「コレさえしなければ大丈夫!」を伝授する一冊。
今回は本書から一部抜粋し、入学後に後悔しないための「共学か別学か」の選び方を紹介します。
趣味を極めるなら別学が賢明
入ってから、やっぱり共学のほうがよかったか、また逆に男子校・女子校のほうがよかったか、と後悔する方もいます。共学か別学か、この点について、僕の見解もお話ししましょう。中学受験をしている子は、一般に知能が高くなり、趣味も高いレベルで追求します。
男子であれば、鉄道や昆虫や音楽などに、大人顔負けのレベルで没頭していることも多いです。これは非常によい傾向であり、できる限りやらせてあげると、よい人生になりやすいです。
開成のポケモン同好会や麻布の鉄道研究部などが有名ですが、やはり偏差値の高い学校、特に男子校の部活には目を見張るものがあります。
女子校でも、女子学院のESSなどは、演出衣装などすべてを生徒たちが手掛け、ものすごいクオリティーです。各進学校のクイズ研究会には、高校生クイズの全国大会常連校もありますし、その追求度合は公立では考えられないレベルです。
これは、この高度情報化社会では、知能が多方面に使える子のほうが、より深く楽しく遊べるということが関係しています。
ですが、例えば同じ鉄道研究部でも、女子の目がある共学校では、わりとおとなしくなる傾向にあります。また女子でも鉄道や歴史が好きな子が結構いるのですが、表に出てくる感じは今はまだ少ないです。
本格的な文化部で徹底的に楽しみたい子は、共学よりは男子校・女子校のほうが選ぶのが賢明かもしれません。
「共学は恋愛トラブルが心配」は親の古い常識
恋愛方面のトラブルによる学力の失速を心配して、共学ではなく別学で!と、頑なにおっしゃる親御さんもいます。このあたりは、ひと昔とはずいぶん違っているので、ぜひ認識をアップデートしてほしいところです。今の子の中では恋愛脳の子はほんの一部で、大学を出てからようやくマッチングアプリや結婚相談所で動く子が多いようです。そもそも結婚願望がある子も本当に少なく、いろいろ心配になります(人のことは言えませんが)。共学に行って、男女で仲よくなることはあっても、実際に本格的にお付き合いをするところまでいくのは、僕の体感では1割前後にとどまります。
佐藤ママ(佐藤亮子さん)は「中高生に恋愛はいらない」とおっしゃっていましたが、僕は節度があるなら構わないと思います。
恋愛は学ぶことも多いし、毎日が楽しくなれば心の支えにもなります。もちろん「勉強に身が入らない」ということも、たまに起こります。それはだいたい男子に多いようですが、そういう中でも、ある程度勉強をバランスよくしていくことを覚える、よい機会になるでしょう。
僕自身も高校時代にちょっとそういう感じになったことがありますが(清いお付き合いです笑)、いろいろ苦しいことも経験し、大きな学びとなっています。僕のわずかな経験からは悪くはなかったな、と思えます。ただ、当時はあまりに東大に行きたい気持ちが強く、彼女をないがしろにした部分があり、悪いことをしてしまいました。また男友達との付き合いのバランスで苦労するなどしましたが、そういう経験は大学以降でもよかったのではと今となっては思います。
いずれにせよ、共学でも偏差値が高い進学校では、生活の中で勉強の比重が大きく「恋愛で勉強がおろそかになる」という親御さんの心配は、あまり当たらないと感じています。
また僕は立場上、モデルや芸能人のようなキラキラ女子の指導をすることもありますが、そのような子ほど、えてして非常にドライであり、男子ほどの熱はない、ということも言っておきます。
今の時代の中高生は、彼氏彼女がいても勲章のようなものではなく、大してマウントもとれないようです。もちろん、将来婚活をするうえでは、学歴と収入が大きな武器になることは付け加えておきます。
長谷川 智也(はせがわ・ともなり)プロフィール
ブログ名はジュクコ。1980年兵庫県明石市出身。高卒の両親のもとに育つもハードな中学受験を経験。白陵中学校・高等学校を経て、東京大学現役合格。卒業後、大手塾に勤務、人気講師となる。2009年独立してフリーランスの「プロ家庭教師」に。既存の固定観念にしばられない、生徒個人を見つめた指導で数々の実績を上げる。独自のプログラム「究極の受験セカンドオピニオン・スーパーコンサル」は年間300件を超える申し込みが殺到する。甲冑メタルバンド「武士メタルAllegiance Reign」のベーシストとしても本気で活動中。







