中学受験

中学受験の最重要科目「算数」が伸びない原因は? 正答率が上がる3つの習慣を算数講師が教えてくれた

中学受験での合否を分ける重要教科、算数。成績が伸び悩む原因は問題の“解き始め”にありました。正答率を上げる3つの習慣、解法の定着法、効率的な反復学習を紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

 中学受験の合否を分ける重要教科、算数。しかし家庭学習で教えるのは難しい。※画像出典:PIXTA

 中学受験の合否を分ける重要教科、算数。しかし家庭学習で教えるのは難しい。※画像出典:PIXTA

中学受験の合否を分ける重要教科、算数。家庭学習でサポートしようにも「解き方のポイントをどう教えたらいいかわからない」と悩む保護者の方は多いはず。

大手進学塾で算数を担当していた過去を持つユウキ先生の著書『「まだ伸びる!」をあきらめない 中学受験 子どもの成績の本当の伸ばし方』では、中学受験で成果を出すために大切な親の関わり方や学習法について、分かりやすく紹介しています。

本書から一部抜粋し、今回は「算数の成績を着実に伸ばす」ための具体的な学習法について紹介します。
<目次>

重要教科・算数の解き方のポイント

中学受験において、算数ほど取り組み方で差がつく教科はありません。私がYouTubeや過去のカウンセリングでお伝えしてきた内容を踏まえ、算数の成績を着実に伸ばす具体的な学習方法をお伝えします。

各問題への具体的な取り組み方

算数は問題を解き始める「その瞬間」から差がつきます。

授業でしっかり話を聞き、理解したはずなのに「宿題を解き始めると全然わからない!」 と頭を抱えている子どもの姿を見るという保護者は少なくないでしょう。この原因は単純です。それは「なんとなく解き始める」から。

問題を解くときには必ず次の順番を意識してください。

1. 問題文を正確に読む
問題文をゆっくりていねいに読み、「何を聞かれているか」「どの数字をどう使うか」を明確にします。

私がこれまで見てきた成績が伸びない子どもの多くは、この段階でささっと問題文を読み飛ばし、「なんとなく図を描いたり計算したりしている」状態です。

2. 数字はていねいに書く
数字を雑に書いてしまうと、計算ミスや見間違いが発生します。特に小数点や桁数が多い問題では、数字のていねいさがそのまま正解率に直結します。

私自身も授業中には子どもたちに「数字はきれいに、桁を揃えてていねいに」と繰り返し伝えています。数字をていねいに書くことは、ぜひ家庭でも徹底してください。

3. 図を必ず描く
図を描くことは、中学受験算数において絶対に外せない習慣です。「頭の中で考えればいい」と言う子もいますが、難関校になればなるほど、頭だけでは処理できない複雑な条件が出てきます。

シンプルな図でいいので、必ず条件を視覚化し、「何が分かっていて、何が分からないのか」を整理してから解き始めましょう。

授業で習った解法を確実に再現する

宿題や家庭学習では、授業で教わった解き方をそのまま再現できるかが重要です。

算数が苦手な子は、授業で習った方法を使わず、「なんとなく解ければいいや」という意識で別の方法を試してしまうことが多いのです。

授業で習った方法を確実に身につけるには、授業中と宿題前のひと手間が大切です。

・授業ノートの横に、習った解法をひと言でメモする(例:「面積図で解く」「差集め算」など)
・宿題を解く前に、必ずそのメモを確認してから取り組む

この習慣が身につくことで、解法が頭に定着し、安定した成績につながります。

定着の近道となる問題ごとの反復方法

中学受験算数では、一度解いただけで完全に身につく問題は稀です。特に間違えた問題や不安を感じた問題は、次のステップで徹底的に反復してください。

1. 1回目のミスは赤で直す
ミスの箇所を赤ペンでていねいに直し、「何を間違えたか」「なぜ間違えたか」を短く書きます。これを「ミスノート」として管理します。

2. 翌日、もう一度自力で解き直す
次の日の学習の最初に、ミスノートを見て問題に再挑戦します。そして、これを自力で完全に解けるようになるまで繰り返します。

これを最低でも3回行うと、ようやくその問題が自分のものになります。

取り組み時間の目安

1つの問題にかける時間の目安も大切です。例として四谷大塚や早稲田アカデミーで使われる『予習シリーズ』を挙げます。

・基本問題:~5分以内(解法の定着が目的、わからない問題はすぐ飛ばす)
・練習問題:1問5~10分以内(正確さ重視、考える力を養わせたい)
・応用問題・発展問題:15分以内(時間をかけすぎず、図示・条件整理を徹底)

算数が苦手な子ほど、難しい問題1問に対して30分~40分もかけ、宿題が終わらないことがあります。

15分考えても解けない場合は「未定着」と割り切り、その問題を講師に質問するためのリストに載せておきましょう。

算数の成績向上に特別な魔法はありません。あるのは、こうした基本を繰り返すていねいな習慣だけ。ぜひ今日から取り入れてみてください。
  ユウキ先生(ゆうきせんせい)プロフィール
三浦祐輝。中学受験スリースターズ代表講師。2006年より関東の大手進学塾にて算数の講師を担当、数多くの合格者を輩出。現在は「中学受験スリースターズ」を運営し、SNSなどを通じて算数の解説動画や学習法を発信するほか、全国の受験生や保護者への個別相談やサポートを行う。自身も保護者として子どもの中学受験を支えた経験を持ち、指導者・保護者という両面からの具体的かつ実践的なアドバイスで多くの支持を集めている。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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