転職のノウハウ

こっそり誤情報を引き継ぐ“ステルス復讐”も増えている…近ごろよく耳にする「リベンジ退職」の実態(3ページ目)

「リベンジ退職」という言葉が広まりつつある。会社での不満や負の体験に対する抗議として、従業員がトラブルを起こしながら退職することを指す。昨今のリベンジ退職の傾向を紹介し、そして会社と自分を守るための対策を考える。※画像:PIXTA

小松 俊明

小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職 ガイド

東京海洋大学教授。専門はグローバル教育/キャリア教育。サイバー大学客員教授を兼任。著書は「できる上司は定時に帰る」「35歳からの転職成功マニュアル」「人材紹介の仕事がよくわかる本」「エンジニア55歳からの定年準備」他。元ヘッドハンターで企業の採用事情に詳しい。

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まさに今こそ知恵を絞る時

会社にとって、社員によるリベンジ退職を減らす方法を真剣に考えるべき時が来ている。社員が退職時に出口調査をして退職理由をヒアリングしている会社は多いが、そもそもリベンジ目的の社員は正直に話すだろうか。わざわざ証拠を残して退職することはしないはずだ。リベンジする決意が強ければ強いほど、社員から直接ヒアリングすることは難しい。ではどうしたらいいのか。

社員に優しい会社、快適な職場環境作り、自由闊達な社風、出戻り社員を歓迎するなど、社員の流動化を促進し、社員向けのウェルフェアを充実させることが大事であることは言うまでもない。

しかし多くの社員はそれで報われるだろうが、物事にはさまざまな例外や特例が生じることがある。日本社会は一般的にそうしたマイノリティー(広い意味での少数派)の取り扱い方が上手ではないことが多いから注意が必要だ。社内制度も、特別な状況を想定していないことが多い。また、まじめな性格の人、責任を取りたくない人は例外を作りたがらない。

注意すべき点は、少数派に対して杓子定規な対応をしないようにすることだ。仮にルールを逸脱することがあっても、制度運用には一定の柔軟性を残すこと、現場判断の余地を残すことが必要である。

ほとんど起きることのない極端な例を挙げて、例外を作りたくない、ルールを維持したい、責任を取りたくないという心理が働く人がいるが、そこは組織のしかるべき地位にいる人が英断をし、状況を改善できるような風通しのいい組織を作る必要もある。

そのためにも、社員に寄り添ったサポートができるベテランの専門職を置くことも検討するといいだろう。社員間のコミュニケーションを活発化させていくさまざまな仕掛けを設けていくことも効果がある。

近年世の中には「リベンジ〇〇」という言葉が増えているが、そうした傾向にストップをかけるためにも、私たちはもっと柔軟で、人に寄り添った仕組みを再構築していかなければならないだろう。まさに今こそ知恵を絞る時である。
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