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“バラまき”だと批判を浴びる「2万円給付」 選挙が近づくと何かくれる日本政府…やはり票集めるため?(2ページ目)

石破茂総理は来たる参議院選挙の公約として国民1人当たり2万円の現金給付を掲げましたが、わざわざこの時期に打ち出したことで「選挙目当てのバラまき」だと批判を浴びています。実際にこうした“選挙目当ての政策や公約”はあるのでしょうか? ※写真:代表撮影/ロイター/アフロ

松井 政就

執筆者:松井 政就

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選挙目当てかそうでないかの見分け方

たびたび打ち出される政策ですが、それが選挙目当てかそうでないかはどのように見分ければいいでしょうか。その方法はわりと簡単です。選挙とは無関係に一貫性をもって打ち出されているかどうかで判断すればいいのです。

例えば国民に2万円配るのはあくまで今回だけの一時的なもので、政府の基幹となる政策にはなり得ません。何の一貫性もなく、典型的な選挙目当てであると言えます。

国民が反対する政策は選挙後に「後出しジャンケン」

ただ、選挙目当ての政策を見分けたとしてもそれはそれ。政府は手の内をなかなか明かしません。政府が本当にやろうとしていることが選挙前に明確に提示されることは少ないのが実情です。選挙前は国民にウケのよい政策を掲げ、都合の悪いことは選挙が終わってからそろりと出されるということがこれまでにも何度もありました。

それは「後出しジャンケン」とそっくりです。

例えば防衛費引き上げや巨額の武器輸入など、国民に反対されそうなことは選挙前はできるだけごまかし、選挙が終わって国民が抵抗する手段を失ってから、まさに「後出しジャンケン」のごとく強行されることがしばしばありました。

そのときばかりは国民も裏切られた思いになり、批判の声を上げますが、次の選挙が近づく頃にはすっかり忘れています。前回の記事(「『国民の忘れっぽさ』が政治家に悪用される」)でも触れましたが、政策の「後出しじゃんけん」は、そんな国民の忘れっぽさにつけ込むやり方と言えるでしょう。

公約を守らなくても罪にならない

また、日本では公約を守らなくても罪には問われません。公約していないことを選挙後にやっても罪には問われません。国会議員による自由な活動が憲法で保障されているため、選挙に勝てばあとは好きにやれるというのが実情です。悪く言えば、言ったもん勝ち、やったもん勝ちということになります。

もちろん、公約を本気で実行しようとしても反対が多くてできないケースや、公約を実行したくても政権を取れなければ実行できないなど、さまざまな場合がありますが、中には特定の集団へアピールすることだけが目的の公約や、最初から実行する気がない政策を選挙前だけシレっと並べる者もいます。

政治家の言葉を真面目に受け取ろうとしている人にとってはひどい話です。そんなことが繰り返されれば政策や公約への信頼性は失われるばかりです。

>次ページ:選挙に表れ始めた“危険な兆候”
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