『ナノスピントFED』とは?
CEATEC 2007、エフ・イー・テクノロジーズのブース。 クリックして拡大 |
『ナノスピントFED』とは、ソニーから技術を引き継いだ、エフ・イー・テクノロジーズ社が開発する、新しい薄型ディスプレーの呼称です。
技術的には、キヤノンと東芝による「SED」で話題となった、「FED」(Field Emission Display/電界放出ディスプレー)の一種。 ブラウン管テレビと同様、映像を構成する発光体に電子を衝突させるという発光原理を用い、液晶テレビやプラズマテレビを上回る高画質、低消費電力が期待されています。
『ナノスピントFED』の特筆すべきポイントは、1画素あたり1万もの電子源を持たせている点。 各電子源の輝度にバラツキが有っても、1万個集まれば究極に平均化されるという考え方で、異なる画素間の輝度差が極めて低くでき、映像表示装置としては重要な、画面の均一性が高い方式と言えます。
また、一つ一つの電子源がナノスケールの小ささなので、必要とされる電圧が低く、消費電力も低く抑えられるそうです。
今回は、『ナノスピントFED』の仕組みや特徴解説に加え、去る10月2日(火)~ 6日(土)に幕張メッセで開催された、アジア最大級のエレクトロニクス・情報技術展、『CEATEC Japan 2007』で体験した、そのナチュラルで感動的な画質をレポートします!
『ナノスピントFED』の魅力は、ブラウン管を進化させた「高画質」
従来のブラウン管が一つの電子源(電子を放出する部分)を持ち、偏向ヨークで画面全体を走査するのに対し、『ナノスピントFED』は各画素毎に電子源群を持つ(画素型テレビ)という違いが有ります。 これにより、薄さを維持したまま大画面化が可能であり、またどんな大画面でも、画面の隅々まで無理なく、美しい映像を映し出す事が可能になるのです。
電子源と蛍光体の間隔が近い為、ブラウン管テレビのように、地磁気(磁力)による画質への悪影響も皆無だそうです。
ブラウン管 | |
FED |
*上の図は、表示方式の違いを現すイメージ図です。 電子源および蛍光体の数や配置は、実際と異なります。
『ナノスピントFED』では、ブラウン管と同様の蛍光体を用いる事で、現状の放送システム(ガンマ特性)と相性が良いというのも、AVファンなら見逃せないポイントと言えそうです。
『ナノスピントFED』は、ブラウン管をベースに進化させた映像美と、画素型テレビ(液晶テレビやプラズマテレビ)が実現した、解像度の高さや大画面性という、両者の利点を兼ね備えた、まさに「究極のテレビ」と言えるのです。