最大3回まで使える! 「リフィル処方箋」とは? 新制度のしくみ・メリット・注意点

【薬学部教授が解説】「リフィル処方」は、医師の診察を受けずに同じ処方箋で最大3回まで薬を受け取れる制度です。2022年に導入されました。通院回数を減らせる一方、対象となる薬や病気には条件があります。仕組みや注意点を分かりやすく解説します。(※画像:amanaimages)

阿部 和穂

阿部 和穂

脳科学・医薬 ガイド

東京大学薬学部卒業、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員、星薬科大学講師を経て、武蔵野大学薬学部教授。薬学博士。専門は脳科学と医薬。

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1回の通院だけで、複数回使える処方箋がもらえる? リフィル処方箋とは


病院で受け取る最近の処方箋には、「リフィル可」という欄があります。チェックボックスにレ点と適用回数が記入されている場合、1枚の処方箋で、記載回数まで繰り返し薬を受け取れるのです。リフィル処方とは何か、そのメリットと注意点について解説します。

リフィル処方とは? お財布にもやさしい! 新制度が生まれた背景とメリット

「リフィル(refill)」とは、英語で「詰め替え」を意味する言葉です。リフィル処方箋は、2022年度に導入された新しい制度で、1通の処方箋で、最大3回まで処方薬を購入できます。

これまでの通常の処方箋の場合、薬局で薬を1回受け取ると無効になりました。しかしリフィル処方箋の場合は、薬を受け取る際に処方箋が返却され、次回以降も同じ処方で薬を受け取れるのです。

リフィル処方箋の最大のメリットは、病院に行く回数と待ち時間を減らせることでしょう。

持病がある場合など、状態が安定していても、同じ薬の服用が長期間続くことは珍しくありません。これまでは、一度に処方できる薬の期間に制限があり、同じ薬をもらうためだけに頻ぱんに通院している人も多く見られました。「いつもの薬を出しておきますね」という診察を受けるだけでも、何時間も待たされ、時間とお金がもったいないと感じることもあったでしょう。個人的な不満だけではなく、病院が混雑し、より優先すべき病気の患者さんも診察がなかなか受けられないといった不具合や、診察代などが毎回かかるという経済的負担の問題もありました。

リフィル処方箋が増えれば、通院回数の負担が減らせ、診察料や交通費の節約にもつながります。さらに、個人の負担軽減だけでなく、社会全体の医療費抑制にも貢献できると期待されています。

リフィル処方箋が使える人・使えない人……使用できる薬の条件は?

しかし、どのような薬でもリフィル処方をしてもらえるわけではありません。リフィル処方箋を利用できるのは、「症状が安定している患者」に限られます。医師が「薬剤師の管理下で一定期間、処方を繰り返してよい」と判断した場合のみ発行されます。対象になりやすいのは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、アレルギー性鼻炎などの慢性疾患です。

新薬や、湿布薬、向精神薬などは対象外です。また、リフィル処方箋は医師の判断に基づいて発行されるため、患者が希望しても必ず出してもらえるわけではありません。

なお、処方箋に「リフィル可」と記載があっても、チェックボックスにレ点がなければ通常の処方箋扱いになります。医師が最大3回までの回数を指定してチェックを入れた場合にのみ、リフィル処方箋として有効になります。

リフィル処方箋のデメリット・注意点……使用期限と受け取り忘れには注意が必要

リフィル処方箋の1回目の有効期間は、通常の処方箋と同じく「発行日から4日以内」です。2回目以降は、投薬期間の終了日をはさんで前後7日の間で受け取ることができます。処方箋を紛失すると、再度受診が必要になってしまうため、大切に保管するようにしましょう。受け取り忘れを防ぐため、カレンダーやスマホに予定を記しておくことも大切です。

また、3回までの受け取りごとに別の薬局を利用することも可能ですが、できるだけ同じ薬局を使うのがおすすめです。薬剤師があなたの体調や服薬状況を確認し、必要に応じて医療機関への受診を促したり、医師に服薬状況の情報共有を行ったり、場合によっては投薬の中止の判断をしたりすることもあります。もし体調に変化を感じた場合は、リフィル処方箋の期間中でも、早めに医師に相談しましょう。
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