このとき、年金の受給を止める手続きにあわせて、「未支給年金」の請求も行うことになります。今回は、遺族が「未支給年金」を受け取る手続きに必要な書類や、どこに届け出るのかなど、分かりやすくご紹介します。
未支給年金とは?亡くなった人の年金を「代わりに受け取れる制度」
年金をもらっている方が亡くなった場合、まだ振り込まれていない分の年金があることがあります。死亡後に支払われる予定だった分の年金(亡くなった月分まで)を、「未支給年金」と言います。●なぜ未支給年金が発生するの?
年金は「後払い」の仕組みで、2カ月分をまとめて偶数月に支払うルールです。
例えば、12月・1月分は2月15日に、2月・3月分は4月15日に……というように支給されます。このため、亡くなった時点でまだ支払われていない分があれば、それが未支給年金になります。
●未支給年金を受け取れる人は?
未支給年金を請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた以下の遺族です(優先順位順)。
①配偶者
②子ども
③父母
④孫
⑤祖父母
⑥兄弟姉妹
⑦その他三親等内の親族(叔父・叔母・甥・姪など)
●未支給年金の手続きに必要な書類
未支給年金をもらうには、次のような書類をそろえて手続きを行います。
①未支給年金・未支払給付金請求書
②年金受給権者死亡届(報告書)
③亡くなった方の年金手帳
紛失など提出できない理由があれば提出不要です。
④死亡の事実を明らかにできる書類(下記のいずれかの書類)
・住民票除票
・戸籍抄本
・市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
⑤亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類
・戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等
ただし、請求する方が配偶者または遺族年金を請求する子の場合、マイナンバーを記入することで戸籍謄本の添付を省略できます。
⑥亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことが分かる書類
亡くなった方と請求する方の世帯全員の住民票の写し。なお、マイナンバーを記入することで、上記書類の添付を省略できます。
⑦受け取りを希望する金融機関の通帳
公金受取口座を利用する方は、請求書の「金融機関の証明」欄の証明および受取先金融機関の通帳等のコピーの添付は不要です。
⑧亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書」
これらの書類をそろえて、最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに提出してください。
なお、未支給年金は5年以内という請求期限があります。期限を越えると受け取れなくなるため、忘れずに早めに手続きをしましょう。
遺族年金がもらえるかの確認も忘れずに
年金を受け取っていた方が亡くなったとき、「未支給年金」の手続きに加えて、遺族年金を受け取れる可能性があるかどうかも確認しておきましょう。例えば、ずっと会社員として働いて厚生年金に加入していたご主人が亡くなった場合、その収入で生活していた妻は、遺族厚生年金を受け取れます。
一方、亡くなったご主人が自営業やフリーランスなどで国民年金のみに加入していた場合、18歳未満の子どもなどがいると遺族基礎年金を受け取れます。子どもがいない場合は、原則受け取ることができません。