傷病手当金とは?
傷病手当金は、会社員など健康保険に加入している人が、仕事以外の理由で病気やケガをして働けなくなったときに支給される給付金です。お給料が支払われない期間でも、ある程度の収入を補ってくれる公的な制度です。この制度を利用するには、次の4つの条件を全て満たす必要があります。
【傷病手当金を受け取るための条件】
・業務外の病気やケガで治療を受けていること
・働けない状態にあること
・最初の3日間を含め、4日以上続けて会社を休んでいること
・休んでいる間に会社から給与が出ていないこと
支給されるのは、通算で最長1年6カ月までです。
ただし、健康保険に加入している本人(被保険者)のための制度なので、扶養されている家族(被扶養者)は対象外です。
傷病手当金の受け取り目安と計算方法は?
傷病手当金は、休業前の給与をもとに計算され、「1日あたりの給与の約3分の2」が支給されるのが目安です。実際には、以下の計算式で求められます。【1日当たりの傷病手当金】
・直近12カ月の平均標準報酬月額÷30日×2/3
例えば、平均標準報酬月額が20万円だった場合、
「20万円÷30日×2/3=約4444円」
これが1日に受け取れる金額です。この金額に、実際に仕事を休んだ日数をかけることで、支給される総額が決まります。
ここで出てくる「標準報酬月額」とは、毎月の給与(基本給のほか、通勤手当や家族手当、残業代なども含む)を区分けしたもので、5万8000円から139万円までの50の等級に分かれています。
なお、健康保険の加入期間が12カ月に満たない場合は……
①加入期間中の平均標準報酬月額
②加入する健康保険組合全体の平均標準報酬月額
この2つのうち、低いほうの金額をもとに計算されます。
会社を退職した後も傷病手当金をもらうことはできるの?
会社を退職した後でも、一定の条件を満たせば傷病手当金を引き続き受け取れます。まず、退職すると健康保険の「被保険者」ではなくなりますが、以下の条件を満たしていれば、「資格喪失後の継続給付」として支給を受けられる可能性があります。
【継続給付を受けるための主な条件】
・退職日までに健康保険の加入期間が継続して1年以上あること
・退職日(資格喪失日)の前日までに、すでに傷病手当金を受け取っている、または受け取る条件を満たしていること(業務外の病気やケガで療養中、働けない状態、連続して3日以上休んでいるなど)
これらを満たしていれば、退職後も引き続き傷病手当金の支給対象となります。
ただし、退職日に出勤してしまうと条件を満たさなくなり、退職後の支給は受けられなくなるので注意が必要です。退職前後の対応によって受け取れるかどうかが変わるため、不安がある方は事前に会社や健康保険組合へ確認しておくと安心です。
参照:
傷病手当金について | 全国健康保険協会
傷病手当金 | 全国健康保険協会