石油不足になったら3000万人分?
牛の飼料は輸入されたトウモロコシなどで作られています。価格の上昇に伴い、各地で代用できるエサの可能性も研究されています。 |
食を作り出すすべての資材を国内で間に合わせようと思ったら、3000万人分くらいじゃないかという見方をする人もいます。この数字は、鎖国状態だった江戸時代の人口から推察しています。
完全な自給自足だった江戸時代は日本の人口は3000万人程度で、そこから増えも減りもしないで推移していったのだとか。それを考えると日本の国土でまかなえる食料は3000万人分くらいではないかというのです。
うう、厳しい! そもそも、あなたは、江戸時代と同じメニューで満足できる? 難しいですよね。
有機農業で自給率100%は可能?
では、有機栽培に転換するのはどうでしょうか。農薬や化学肥料を使わずに、枯れ葉や糞尿などから有機肥料で野菜を作る有機栽培は理想的な資源の循環だといわれます。安全でおいしい野菜も確保でき、一石二鳥? でもなかなかそううまくはいかないようです。1960年代までの農業は確かに有機肥料を使った循環型システムでした。でも化学肥料に頼っている現在の農業では、その循環システムが崩れています。もちろん、有機農業で安心な野菜を作ることを応援することは大切ですが、それは別の議論。現段階で、循環システムを再構築して、日本の農業のすべてを有機農業とするのは一朝一夕には無理でしょう。
そもそも、畜産業は輸入されるトウモロコシなどの穀物を飼料としています。食料不足になれば、家畜用の飼料も品薄になるはずです。そうなると、有機肥料の原料になる糞尿も出てきませんよね。どう考えても、有機農業で自給率100%、つまり日本人1億2000万人の胃袋を満たすのは現実的とはいえません。