株価10倍高のヒントは時価総額の低い成長企業
渡部さん:過去の例でも分かるように、テンバガー銘柄(株価10倍高)の多くは時価総額の小さな中小型株が中心です。そこで、テンバガー銘柄の発掘方法をご紹介しましょう。私自身、テンバガーを達成した銘柄について、過去の会社四季報をさかのぼって何度も検証してみました。そこで共通点として浮上したのが、以下の3つのポイントです。
まず1つ目は、時価総額300億円以下の中小型株であること。2つ目は、成長企業であること。具体的には、年間で売り上げの伸びが20%以上であること。
そして最後は、社長が筆頭株主のオーナー企業であることです。過去にテンバガーとなったソフトバンクグループ<9984>、ユニクロを展開するファーストリテイリング<9983>、インテリアや家具を手がけるニトリホールディングス<9843>にも共通する項目です。
ただし、2024年は時価総額が1,000億円以上の銘柄の中にも、株価が大きく上昇したものがありました。

2024年1集春号から1年間で上昇した銘柄ベスト5(渡部氏のデータをもとに作成)※条件:1年前時価総額1,000億円以上/会社四季報発売日終値比較
例えば、電線のフジクラ<5803>は1年で株価が6倍、IHI<7013>や古河電気工業<5801>が3倍になっています。これらに共通しているのは、1年前の新春号で見て、今期が減収減益、来期が増収増益に転じていること。いわゆる「業績回復株」です。
(文:三枝 裕介/写真:佐坂 和也)
教えてくれたのは……渡部 清二さん(わたなべ・せいじ)
1967年生まれ。筑波大学卒業後、野村證券に入社。野村証券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。28年以上の継続中で、2024年12月発売の新春号をもって、計109冊を読破。2013年に野村証券を退社し、四季リサーチ株式会社を設立、代表取締役に。2016年に複眼経済観測所(現・複眼経済塾)を設立。「会社四季報オンライン」では、コラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一『四季報』を愛する男」と紹介された。
【関連動画】ぜひ動画も併せてご覧ください!