
処方薬が受け取れる調剤併設型ドラッグストア。調剤薬局との違いは?
一般に「薬局」と呼ばれている店舗は、「調剤薬局」「調剤所」「ドラッグストア」の3種類に分けられます。それぞれ、以下のような特徴があります。
- 調剤薬局……医師が発行した処方箋に基づいて調剤を行うことを主な業務とする薬局
- 調剤所……病院内での処方のみを取り扱う薬局。「院内薬局」と呼ばれることもあるが、厳密には薬局ではない
- ドラッグストア……処方箋がなくても患者自身が購入して利用できる市販薬や、健康・美容に関連した商品、日用品、飲料や食品類を店頭販売している薬局
調剤併設型ドラッグストアを利用するメリット
調剤併設型ドラッグストアを利用するメリットの1つは、利便性の高さです。病院の処方箋を持って調剤併設型ドラッグストアに行けば、処方薬をもらうついでに、日用品や化粧品などのちょっとした買い物も済ませられます。最近は、食料品や雑貨の取り扱いを増やし、スーパーマーケットとコンビニを超えた「スーパーコンビニ」のような店舗もあります。調剤薬局の場合、「薬をもらうだけなのに待ち時間が長い」といった不満もよく耳にしますが、調剤併設型ドラッグストアなら、処方箋の受付後の待ち時間で別の買い物もでき、時間が無駄になりません。大手チェーン店の場合、全ての店舗での共通ポイントカードがあり、処方箋受付による調剤で支払う代金にもポイントが付与されるサービスをしているところもあるようです。こうした工夫によって、大きく売り上げを伸ばしているのでしょう。
また、調剤薬局の場合は土日や夜間は閉店しているところが多いですが、定休日のない調剤併設型ドラッグストアなら、土日や遅い時間でも処方薬を受け取れる店舗もあります(※ドラッグストア自体が開いていても、土日や遅い時間は薬剤師が不在で、処方箋受付を行っていない店舗もあるため、注意が必要です)。
調剤併設型ドラッグストアを利用するデメリット
一方で、調剤併設型ドラッグストアにはデメリットもあります。軽症の病気であれば問題ないのですが、例えば肝臓や腎臓が悪いとか、重い慢性疾患を抱えているといったケースでは、よりきめ細やかな対応が期待できる調剤薬局の方がよいでしょう。扱う薬剤の数も、調剤薬局の方が多い傾向にあります。特殊な薬の場合は、調剤併設型ドラッグストアに処方箋を持参しても、取り扱いがないと断られることがあるかもしれません。
また、多くの調剤薬局は、近隣にある医療機関の処方箋を主に取り扱っていることが多いです。それぞれの医療機関との連携が密なため、処方内容の変更などのイレギュラーな対応も、スムーズに行えることが多いです。
さらには、調剤薬局の中には地域との連携に力を入れている店舗もあります。外出できない患者さんの自宅を訪問し、服薬状況の確認や残薬の整理、新しい薬を届けて生活上のアドバイスをするといったサービスを積極的に行っているところもあるようです。こうしたサービスが求められないという点も、調剤併設型ドラッグストアを利用するデメリットと言えるかもしれません。
大切なのは自分に合った「かかりつけ薬局」を持つこと
調剤薬局と調剤併設型ドラッグストアには、それぞれメリットとデメリットがあることを理解して、上手に使い分けるのもいいでしょう。ただ、どちらでもいいのですが、私はぜひ「かかりつけ薬局」を持つことをお勧めします。ポイントとなるのは、どの病院で処方箋をもらった場合でも、自分でかかりつけと決めた同じ薬局に持参し、調剤してもらうことです。病院の場所に左右されないよう、自宅近くが便利です。毎回同じ「かかりつけ薬局」に処方箋を持参していれば、薬局側でもあなたの病歴や服薬歴の全てを記録し、把握してくれます。処方内容が合っているかどうかを、より的確に判断してもらえるという大きなメリットがあります。
最近は「医薬品不足」も問題になっており、初めて利用した薬局に必要な薬の在庫がないといったことも珍しくありません。その場合も「かかりつけ薬局」であれば、定期的に利用するあなたのために、一定数の薬の在庫を用意してくれることも多く、在庫切れの心配も少なくなります。
「かかりつけ薬局」は、調剤薬局でも、調剤併設型ドラッグストアでも、どちらでもかまいません。メリット・デメリットを理解した上で、自分の体調や利便性に合う薬局をぜひ1つ決めてみてください。