人間関係

愛情と依存は「紙一重」。共依存になりがちな夫婦関係とは? 相手の自立を邪魔してしまうことも……

夫婦は支え合うのが大切ではありますが、気が付いたら依存し合ってしまい、「共依存の関係」になってしまうことがあります。共依存になりがちなのはどんな夫婦なのか、共依存にならないための対策について、紹介します。

ひかり

執筆者:ひかり

恋愛・人間関係ガイド

愛情と依存は紙一重……共依存になりがちな夫婦関係とは?

愛情と依存は紙一重……共依存になりがちな夫婦関係とは?

夫婦は支え合うのが大切ではありますが、度が過ぎると依存し合ってしまい、「共依存の関係」になってしまうことも……。共依存になりがちな夫婦の傾向と、そうならないための対策について紹介します。
<目次>

共依存の夫婦は、互いに「苦しい」ことが多い

共依存の夫婦は、互いに依存し合い、苦しい思いを抱えながらも、抜け出せない状況になっています。

例えば、相手を失う恐れや不安感から、「過剰にメールをして、返事が来ないと怒りだす」「四六時中、相手がどこで誰と一緒にいるのかを把握しないと安心ができない」といった、強い監視や束縛をすることがあります。
 
“夫(妻)がいないと生きていけない依存気質の人”は、自分で自己を幸せにすることはできず、相手を使って幸せになろうとする傾向があります。でも、自分以外の人間を思い通りにすることはできないので、何かしら願望は満たされず、いつも不満を抱きがち。それは「自立していない自分のせい」ではなく、「思い通りに動いてくれない相手のせい」と考えてしまうところがあるのでしょう。
 
共依存になってしまうと、“自分がいないと生きていけない夫(妻)”に自立を促すどころか、相手を支えることで「自分の存在意義」を実感しようとするところがあります。その場合、相手が自立しようとするのを邪魔してしまうことも……。

依存心の強い人が自立するだけでも精神的に大変なことなのに、夫(妻)がいることで、余計に自立できなくなってしまうケースは、多々あるのです。

「自立している人同士が、互いに支え合う」のが、理想

本来は、夫婦に限らず、あらゆる人間関係において「自立している人同士が、互いに支え合う」のが理想的です。もちろん、夫婦が一緒に暮らす中で「役割分担がある」のは悪いことではありません。夫は経済的な活動をし、妻は専業主婦として家庭を守るという形でも問題ありません。

でも、「何かあったときには、自分でもできる。一人でも生きていける」といった自信と自立心は持っていた方がいいのです。そうでなければ、相手がいなくなってしまうと、自分は生きていけなくなってしまうため、生存本能からくる恐れや不安から、必要以上に相手を監視したり、束縛したりしてしまいます。
 
また、精神面で自立するためにも、「人として成熟していくこと」は重要です。

例えば、劣等感や自己嫌悪を解消できず、自分で自己をきちんと受け止められていないと、相手に受け止められることで安心しようとします。自分が向き合うべき問題がありながらも、「私にはこの人(夫、もしくは妻)がいるから、このままでも大丈夫なんだ」と言い聞かせてしまう傾向があるのです。
 
私たちがまず、良好な関係を築くべき存在は、「自分自身」。たとえ夫(妻)が自分のことを受け止めてくれていても、誰もがみな、自己をきちんと認め、受け止めるようになった方がいいのです。

夫(もしくは妻)が自分を認めてくれるからといって、自分の中にある劣等感や自己嫌悪がなくなるわけではありません。それは「生きる上で自分が立ち向かうべき問題」なのです。
 
さらに言うと、自己を肯定できるようにならない限り、本当の意味で人のことも肯定できるようにはならないでしょう。悔しいですしね。基本的に、「自分が自己に対してできること」しか、自分以外の人にもできないのです。自分を大切にできない人は、人のことも大切にできないし、自分のことを愛せない人は、人のことを愛せる状態ではありません。

つまり、夫婦の間で“本物の愛”を築くためには、まずは自分のことをきちんと愛せる状態でいた方がいいでしょう。それができて、ようやく相手のことを愛することができるのです。

二人の間にあるのは、「愛」ではないことも……

人は相手を「必要とする」思いを愛情だと勘違いしがち。でもそれは相手への愛情ではなく、「依存心」です。
 
哲学者のエーリッヒ・フロムは、こう言っています。

自分の足で立てないという理由で誰か他人にしがみつくとしたら、その相手は命の恩人にはなりうるかもしれないが、二人の関係は愛の関係ではない。
 
未成熟な愛は「あなたが必要だから、あなたを愛する」と言い、成熟した愛は「あなたを愛しているから、あなたが必要だ」と言う。

(参考文献:エーリッヒ・フロム著、鈴木 晶 翻訳、『愛するということ』紀伊國屋書店刊)
 
依存体質の人は、自分の役に立つ人を好きだと思い、そうではない人を嫌いだと思う傾向があります。「自分にとって都合がいいから、相手を好き」というのは、愛でも何でもありません。

本当の愛情というのは、「たとえ自分の理想通りではなくても、ありのままの相手を受け止め、相手の幸せを願う」ことだからです。夫婦の間にあるものは、「依存」よりも「愛」の方が、互いに幸せになれるでしょう。

共依存夫婦は、専門家にご相談を!

夫婦で共依存に陥ってしまい、日常生活に支障を来す場合は、早めに専門家に相談しに行った方がいいことも多いでしょう。

場合によっては、「一時期、離れて暮らす」ことも必要かもしれません。結局、依存は一人ではできません。“依存させてくれる人”がいなければ、成り立たないもの。つまり、夫(妻)と一緒にいる限り、互いが自立しにくくなってしまうのです。
 
依存している相手と離れると、まるで自分の片腕をもぎとられたような激しい心の痛みを感じる人もいます。それでも、その苦しみに負けずに、まずは「一人でも立てる自分」になった方がいいでしょう。

相手と本当に幸せになりたいのであればなおさら、乗り越えていきたいものですね。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます