のり子とハル、母親との希薄な関係について
――映画を拝見したとき、のり子もハルも家族との関係が希薄だと感じたのですが、その関係の薄さがキャラクターの性格に影響を与えていると思いますか?綾瀬:私は森井監督から、のり子は自主的に人と距離を置いていると聞いていたので、それをベースに役作りをしていました。彼女と家族の詳しい関係は聞いていないのですが、監督に『こちらあみ子』のあみ子っぽい女性ですか? と聞いたら「そうかもしれないですね」とおっしゃっていたので、その言葉も心にとめて演じました。あみ子も優しさが裏目に出て、誤解されて怒られたりするキャラクターだったので。
大沢:お母さんと離れ離れなのは、お互いに嫌いなわけじゃないと思います。ハルはお母さんと離れて寂しい気持ちがあるからこそ、のり子とお母さんに会いにいくことが怖かったんじゃないかな。お母さんに忘れられていたら悲しいから。でも最後のお母さんへの言葉で、お母さん思いの子なんだと分かりました。
二人の魅力の共通点は“目力”
――共演をしてお互いに「ここがすごい」思ったところはどこでしょうか?大沢:森井監督も言っていたのですが、綾瀬さんはセリフがなくても目力で気持ちを伝えることができる俳優だと言っていて、そういうところがすごくかっこいい! と思いました。
綾瀬:一菜ちゃんの顔がスクリーンに映ったとき、完全にハルとして存在していて素晴らしいなと。一菜ちゃんこそ目力がすごかったです。「いい顔してますね~」という感じでした(笑)。
――大沢さんは、ハルは自分に近いキャラクターだと感じたとおっしゃっていましたが、自分に似ている役を演じてみてどう感じましたか? 不思議な感覚ですか?
大沢:自分に近いとやりやすいとは思いましたが、完全に自分自身ではないし、違うところもあるので、ハルと自分の違う部分も集中して演じました。
綾瀬さんとの最初のシーンで頭が真っ白になった
――綾瀬さんは大沢さんと共演して、これまで共演してきた俳優さんとのリアクションの違いなど感じましたか?綾瀬:そうですね。撮影に入ってからは、一菜ちゃんではなく、ハルがそこにいるような感じでした。演じているように見えないんですよ、どうしても。
――二人が秘密基地で出会うシーン。カメラの切り返しで表情を追っていましたが、あのとき、二人ともそれぞれ役と自分の境界線が曖昧な感じだったんですか?
綾瀬:森井監督が「“のり子の宇宙”の余白をもっと感じてください」という演出をされていたので、私も頭を空っぽにして役と向き合いました。ハルに「あんたを連れていくよ」と話しかけるシーンも、コミュニケーションを取ろうとしているんだけど、独り言みたいに感情を込めないで演じるというか……言葉にするのが難しいのですが。
――大沢さんは秘密基地で初めてのり子と会うシーンはいかがでしたか?
大沢:もう「本物の綾瀬はるかさんがいる! 目の前にいる!」としか考えていませんでした。頭の中、真っ白になっちゃいました(笑)。
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