「たまに」のぜいたくが頻繁になりがち
娘の習い事や将来の学費などを考えると、ナツミさんはとにかく倹約して貯蓄を殖やしたいと考えているが、夫は「たまにはぜいたくしようよ」が口癖だ。「あまり外食をしないから、夫の言うぜいたくは、ちょっといい肉を買ってステーキやすき焼きをするというくらいのものなんですが、それが月に何度かとなるとキツいんですよね」
夫もナツミさんも、大手有名企業に勤めているわけではない。夫は中堅企業、ナツミさんはとある士業が数人で集まって作った事務所勤務だ。それぞれ、周りの人間関係に恵まれて働きやすい職場だが、収入という点では多少の不満はあるという。
「ぜいたくは月に1回と決めているんですが、夫はそのルールをいとも簡単に破る。ちょっといいことがあったからとか、娘の成績が上がったからとか、些細な理由でお祝いしたがるタイプなんです。娘がまた肉が大好きなので、夫としては食べさせてやりたいと思うんでしょうけど」
何かというと「娘が喜んでる」「娘のため」と言い訳するのが夫で、それを聞くと反対できなくなるのがナツミさんなのだ。
「店が閉店するころ、父はカードで相当キャッシングをしていたみたいなんです。だから両親ともに、カードの使い方には気をつけろと口うるさいくらい言う。夫はいつも“ぜいたく品”をカードで買ってくる。日常の生活にカードは使わないのが私たちの取り決めなのに、それも平然と破る。そこが気になっています」
夫のカード決済日は戦々恐々
カードを使う時は現金を払わないが、翌月の引き落としで「ヤバい」と夫がつぶやくのを聞いたこともあり、ナツミさんは戦々恐々としている。「お金がなくなって、返せる見通しも立たないころの両親は本当に怯えるように暮らしていた。私たちだって、いつああなるかわからないよと夫には言うんですが、夫は『今のうちだけだよ、生活を楽しむことができるのは』って。娘が大きくなれば巣立っていくわけだから、それも分かるんですが……。それでも私は怖いなと思っています。怖がっていたら、日々を楽しめないという夫の言い分も理解できるけど」
お金は怖い。それが分かっているナツミさんだからこその心配なのだろうが、彼女なら夫が万一、暴走しそうになっても止めることができるのではないだろうか。