格闘技を教わるために朝倉未来さんにDMを!
――迫力あるアクションシーンが見せ場でもある作品ですが、特に格闘シーンは引き込まれました。竹内さんは元総合格闘家の朝倉未来さんにアドバイスを求めたそうですね。竹内:『龍が如く』の仕事が決まったとき、格闘シーンはかなりハードなものになると考え、早めに準備をしておかないと本番で恐怖心が生まれると思ったんです。そこで作品に入る半年前から格闘技をやろうと思ったのですが、経験がないので何から手をつけていいのか分からなくて。
――それで朝倉さんに連絡したんですね。
竹内:ある日、未来くんが夢に出てきたんです。「そうだ、未来くんに連絡をしよう!」と思い立ち、ダイレクトメッセージ(DM)を送りました。
――お知り合いだったんですか?
竹内:全然知り合いではありませんでした。「DMを見てくれるといいな」と思いながら返事を待っていたら、未来くんが連絡をくれて教えていただくことになったんです。
でも当時、彼は試合を控えていたので、直接教えてもらったのは最初の2、3回で。その後は紹介してもらったコーチにお願いして週4~5回トレーニングをして格闘技への理解を心身共に磨いていきました。 ――積極的な姿勢が実を結んだのですね。トレーニングはハードだったのでは?
竹内:最初にヘルメットとヘッドギアを付けて、パンチを当ててもらったんです。そのときに殴られる気持ちや相手との距離感を知りました。格闘技にとって相手との距離感はすごく重要なんです。パンチは絶対にもらってはいけないのですが、パンチが当たる覚悟も必要だとコーチに教えていただきました。その言葉は印象に残っています。
芝居のキャッチボールが心地よかった撮影
――河合さんは『龍が如く』のようなヤクザを描いた作品への出演は珍しいのではないでしょうか。迫力のある男性陣に囲まれてのお芝居はいかがでしたか?河合:広い控室でキャストの皆さんを見渡して「本当に女性が少ないな」と思いました(笑)。それもあってとても気を張って撮影に臨んでいたと思います。迫力あるアクションシーンも含めて、自分にはできないことも多かったので、この物語のパワフルで肉体的な魅力は男性の俳優さんたちにお任せして、自分がこの作品で担えること、表現すべきことをしっかりやっていこうと思いました。 ――竹内さんと河合さんは同じ養護施設で育った幼なじみという設定ですが、芝居について相談しながら作っていったのでしょうか?
竹内:河合さんが演じる由美や養護施設で育った仲間たちのお芝居は、感覚的に僕と通じるものがあったので。自然と芝居のキャッチボールがうまくできるというか、演じながら共鳴し合えるというか……。
うまく言葉にできないのですが、すごくいいお芝居のやりとりができたし、完成した作品を見たときに感情がリンクしていて、発する言葉にうそがないと感じました。共演できて本当によかったです。
河合:私も同じです。初共演でしたし、竹内さんと真正面からコミュニケーションを取るのは撮影が始まってからという状況でしたが、きちんとキャッチボールができていたという感覚はしっかり残っています。 ――ヤクザが登場し、かつ人気ゲームを基にしている作品ですが、そこは意識しましたか?
河合:人気ゲームが原作の実写化ではあるのですが、その大きな枠組みの中で、俳優として役に血を通わせられるかということは大きな課題でした。人気ゲームの世界観を壊してはいけないけれど、型にはめるだけではなく、リアリティーを持ったキャラクターとして作品の中で生きるためにはどうしたらいいか、ずっと考えながら演じていました。
竹内:それを意識して演じないと、作品の持つ力が強いので人間ドラマではなくなってしまうんです。
河合さんたちはどんな小さな変化も拾って、丁寧に芝居で返してくれたので、僕は安心して自分の芝居に集中できました。
――いい環境だったのですね。
竹内:みんな個性が強くて、自分にない力を持っている俳優さんばかりだったので、撮影は本当に楽しかったです。
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