今回は首都圏からもアクセス至便な近鉄奈良駅付近にフォーカス。世界遺産「興福寺」を中心に、2024年の秋限定の楽しみ方や近隣の穴場&おすすめスポットを紹介。インバウンドの旅行者は多いですが、工夫次第でのんびり楽しむこともOK。そして奈良の食は、意外なものがトレンドなのだとか!
<目次>
世界遺産「興福寺」~五重塔は素屋根工事中も、限定公開が多い秋はおすすめ
興福寺といえば、高さ約50mを誇る木造塔の五重塔(国宝)が有名です。「奈良に来たなあ」と感じる象徴的な存在ですが、約120年ぶりの修理の真っただ中で、現在は大部分が素屋根に隠れています。寂しく感じますが、大切な国宝を次世代へと受け渡すために必要な時間。クレーンが伽藍(がらん)に高くそびえる様子も、なかなか見られない貴重な光景と見守りましょう。 2024年の秋、興福寺で注目の見どころは、創建当初の姿が再現された「中金堂」。鮮やかな極彩色に彩られた絢爛(けんらん)たる様に驚きますが、境内の堂塔や仏像なども、もとは華やかな彩色だったと考えられるそう。私たちが慣れ親しんだ古都の風情ある光景も、当時は異なる印象だったのかもしれません。 この秋は、11月に中金堂の夜間特別拝観を実施。一帯は人工の光が少ない場所なので、闇夜に浮かびあがる幻想的な雰囲気を体験できます。また興福寺は、国宝に指定された仏像彫刻の所蔵件数が日本一の寺院。訪れたら、ぜひ見ごたえのある国宝館へも立ち寄りましょう。世界的にもさまざまな出来事が起こり、日本でも自然災害が多く、心がザワザワと落ち着かない日々。世界の平和を祈り、自分と向き合う時間を持つのもいいですよ。 ご本尊の千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)立像を始め、イケメンな仏様としても人気の阿修羅像(あしゅらぞう)を含む乾漆八部衆(はちぶしゅう)立像など、国宝の数々を拝むことができます。 ちなみに、最近筆者がハマっているのが、JR東海のEXサービス会員向け観光プランのEX旅先予約。会員限定の特別な体験があったり、観光スポットが安くお得に楽しめたりするので(※ここだけの話、新幹線を利用しないときでも使えます)、気になるプランを見つけてはプライベートで利用しています。
2024年秋には、いざいざ奈良「興福寺編」の開始を記念して、奈良・興福寺を舞台にしたプランが、EX旅先予約に登場しています。 中でも筆者が注目しているのが、2024年9月28日(土)開催の「興福寺中金堂 夕刻の時間外貸切拝観と『几帳』を使用した御朱印帳授与」。一般拝観が終了した後の中金堂を、僧侶の方に案内していただき、珍しい「几帳」(※写真参照)を使った世界にひとつだけの御朱印帳を授かれます。 また、興福寺には三重塔(国宝)もあり、こちらは境内で一番古い建物だといいます。毎年7月7日の年に一日だけ公開されるのですが、こちらもキャンペーンにあわせてEXサービス会員向け限定で、11月23日(土・祝)、24日(日)に特別御開扉を実施。美しい三重塔の切り絵御朱印を授かれます。
食のトレンドは「スパイスカレー」。シルクロードを通りスパイスも日本へ!
奈良の食といえば、何を思い浮かべますか? 精進料理や茶粥(ちゃがゆ)など、和のイメージがありますが、現在トレンドなのが「スパイスカレー」。散策をしていても、カレーのお店が点在しており、しかも目を引く個性的な店舗やおしゃれな雰囲気のお店も多くあります。実は歴史的にみても、奈良とスパイス(香辛料)は密接なつながりがあるといいます。シルクロードの終着点である奈良には、中国(唐)よりスパイス(香辛料)や薬草が伝来。正倉院には、今も約40種が現存し、古い書物には、栽培や輸入に関する記載が出てくるといいます。 数あるスパイスカレーのお店から筆者が訪れたのは、2023年11月にオープンしたcafe & galleryの「メカブ」。ビルの2階にある店は、写真家の佐々木香輔さんがオーナー。隠れ家のような雰囲気の店内は心地よくセンスの良さが光ります。地元産の野菜を使い、料理はすべて手作り。お得なランチを目的に訪れてみてはいかが? 11月限定で興福寺の辻明俊執事長が監修された「たぬきカレー」も登場するそう。中世の日記に書かれた「たぬき汁」をヒントに、こんにゃく、大根、ごぼうの具材を利用。クローブ、スターアニス、黒こしょう、ターメリック、コリアンダー、ガラムマサラなど多彩なスパイスをあわせ、隠し味には地元酒蔵の酒粕を。ひき肉のような食感は、高野豆腐やレンズ豆、ひよこ豆だといい、口の中で絶妙に調和する食感や香りのカレーは、美味で健康的! 後を引くおいしさです。 スパイスカレーのお店は、JR東海の「いざいざ奈良」のスパイスカレー特集のページが充実しています。たぬきカレーを監修された興福寺の辻明俊執事長も参加されているスパイス談義もぜひ。
「奈良にうまいものなし」は昔の話。大和野菜に大和肉鶏、ヤマトポーク、そして鎌倉時代から伝わるA4黒毛和牛の大和牛まで(海がないので海鮮は無理ですが)、奈良だからこその魅力ある食材があり、提供するお店も増えています。ぜひ次回は、奈良で「食」も楽しんでくださいね。
今西家書院~ゆったりお庭を見ながら和スイーツを堪能
日本清酒発祥の地「奈良」で明治17年創業の今西清兵衛商店は、清酒「春鹿」の醸造元として知られています。店舗では5種類のお酒を利き酒できる体験を税込500円(10月以降は税込700円)で実施し、外国人を含め多くの旅行者でにぎわいます。 その隣にある「今西家書院」にもぜひ訪れてみて。室町時代初期の書院造で、重要文化財に指定されています。館内に入るとスタッフの方が建物の見どころや特徴を説明してくれるので、説明を聞いた後、お庭を見ながら好きな場所で和スイーツを堪能するのはいかが?おすすめは「デザートプレートと奈良の和紅茶(2000円・入館料込)」。春鹿大吟醸酒粕アイス最中、季節の和菓子、干菓子「樫舎」が載ったデザートプレートと、自然栽培で育てられた和紅茶のセットをいただきながら、しばし現実逃避。ゆったりと五感を研ぎ澄ます癒しの時間もいいものです。
宿はタイプで選ぶべし。元酒蔵の古民家宿VS駅近快適ホテル
わざわざ滞在を目的に出かけたくなる宿も増えています。例えば元酒蔵(奈良豊澤酒造創業の地)を改装した「「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」は、全8室の個性的なお宿。築100年の建物の良さを最大限に残しつつ、水回りは快適に整えられています。 他のNIPPONIAと比べると本当に小さな隠れ家的なお宿でラウンジなどはありませんが、冷蔵庫には、奈良豊澤酒造のお酒が用意され無料でいただけます。ひとつとして同じ部屋はなく、個性あふれるどのお部屋になるかも楽しみ。住むように滞在を楽しむのも良さそうです。 他方、近鉄奈良駅近くには快適なビジネスホテルも多く進出。そのひとつ「いろはグランホテル近鉄奈良駅前」は、入り口から奈良の風情を感じる演出があり、ロビーも広々。アメニティもクオリティが高く充実し、室内は落ち着いた雰囲気で快適。商店街の一角というロケーションのため眺望は楽しめませんが、朝、一帯を散策するにも、電車で観光の足を延ばすのにも抜群の立地です。 筆者も早起きをして、人の少ない市内中心部を散策。興福寺や猿沢池、そして開庁したばかりの奈良県庁の屋上へ。屋上は県庁がオープンしている間は解放され利用は無料です。一帯の景観が楽しめるイチオシスポットです。 盆地である奈良は、秋・春など気候の良い季節がおすすめ。また散策しながら、気になるお店を開拓する楽しみもあります。ぜひ寺院の限定公開などを絡めて、お出かけをしてみてくださいね。■奈良の情報収集に便利なサイト
いざいざ奈良(JR東海)
奈良市観光協会サイト