妻の不機嫌の理由を聞いてみたものの……
突然、妻が急に話かけてこなくなった
「ある日、理由もわからず妻が急に話しかけてこなくなりました。何か聞けば言葉少なに答えるけど、向こうから話題を提供することはない。最初、僕はそれにも気づかなかったんですよ。数日たって、あれ、なんだか最近おかしいなと思った」そう言うのはマサトシさん(44歳)だ。結婚して10年たつ妻に異変があったのは今年の春頃。何を怒っているのかわからない。8歳になる長女に「ママ、何か怒ってるのかな」と聞いても「わからない」と言われた。
そのとき彼が率直に思ったのは「面倒くさい」だった。
「だって夫婦なんて赤の他人なわけですよ、もともと。慣れ親しんだ家族となっても、お互いにある程度、気を遣い合わなければうまくいくはずもない。体調が悪いとか、僕の言い方が気に入らないとか、そういうことがあるならきちんと言えばいい。僕は高圧的にものを言ったことなんてないんだから」
「子どもじゃないんだから……」
そういう自負があったので、数日後、妻に「どうしたの? 何かあったのなら言ってよ。言わなきゃわからないよ。子どもじゃないんだからきちんと言うべきでしょ」と伝えてみた。「すると妻は、『あなたのそういう言い方が嫌なの』って。は? という感じでした。そういう言い方って、どういう言い方なのか尋ねると『子どもじゃないんだから~』という件だそうです。そういうのが嫌、という時点で、子どもじゃないんだからと繰り返したくなりました。オレはきみの親でもきょうだいでもないんだからさ、ちゃんと他人同士の親しさをキープしようよと言いました」
そういう説教臭い感じが、おそらく妻にとってはプレッシャーにもなるのだろう。神経質だ、繊細すぎるとマサトシさんは感じたようだが、言いたいことを言える立場と受ける一方の立場とでは、感じ方が違うはずだ。
「結婚したとき、夫婦はあくまでも対等なのだから、言い方には気をつけながらも言いたいことはきちんと相手に伝えようと意思確認をしたんです。うまくいっていると思っていたのに、気づいたら妻はどうやら不満をため込んでいる。何度も何かあったのと聞いてきたんですよ、今まで。なのに言わずに、とうとう自分からは話さないという“暴挙”に出た。被害者はこっちだと言いたくもなります」
怒っているわけではなく、参っているといった感じのマサトシさん。今はいくらか話しかけてくるようになったが、根本解決には至っていないという。
>「諦める」のはお互い様