日本が諸外国と比較して仕事の拘束時間が長いということを加味すれば、夫が「なまけて」いるだけではないのだろうが、それにしても時間差がありすぎる。
この調査にはコロナ禍以前のデータが使われているので、もしかしたらコロナ禍を経て、少しは分担が変わったかもしれないと思ったのだが……。
ますます負担が増えた妻
「コロナ禍は本当に大変でした。うちは離婚寸前までいきましたよ」苦笑しながらそう言うのはカヨコさん(40歳)だ。現在、8歳と5歳の二人の女の子がいる。コロナ禍で、夫はほぼ在宅ワークとなり、パート勤めをしていたカヨコさんは一時期、自宅待機となった。
「平日に夫がずっと家にいて三食用意しなくてはいけない。さらにコロナ禍のストレスで夫はイライラ、子どもは怯えて萎縮する。あんな状態は結婚してから初めて。しかも下の子は当時1歳。子どもの泣き声と夫の怒鳴り声が交錯して、ここは地獄かと思ったものです」
義妹が心配してやって来ることもあったが、夫は自分の妹にさえ「おまえが来ても何の役にも立たない」と怒る始末。義妹は子どもを散歩に連れ出してくれたりして、カヨコさんにとってはありがたい存在だったのに。
「自分だけがストレス抱えて大変だと言い張る夫に、とうとう私がブチ切れました。幼い子どもたちの心を、あんたは毎日傷つけている。それが分からないのか、親なら親らしくしろ、大人なんだから自分は我慢して子どものために何かしろって叫ぶと、さすがに夫はおとなしくなりました。翌日から近くのワーキングプレイスに行ったりカラオケボックスで仕事をしたりもしたので、家の中は平和になりましたが」
家事や育児は「女の仕事」
この間、カヨコさんは朝から家事育児に追われ続けた。その後、夫が出社するようになり、カヨコさんのパート勤務も再開、子どもたちも保育園に行くようになったのだが、彼女自身の家事育児時間は減らなかった。「子どもたちの衛生問題、家の中の換気や消毒などで、以前より家事時間が増えましたね。夫は以前の勤務形態に戻っただけだけど、私はやることが増えた」
上の子が小学校に入り、日常生活もようやく落ち着いた。夫の勤務先では残業を減らすよう働き方改革がされてきたらしいが、それでも夫が平日、早く帰ってくることはめったにない。
「以前、たまたま夫が家にいて、夫婦の家事時間の問題を一緒にテレビで見ていたんです。ほら、これ見てよと夫を促すと、夫はチラッと目をやったけど無言。私が倒れたら、家はどうなるのかしらねと言うと、夫は『おふくろか妹に来てもらう』と。どこまでも人を頼るんだとよくわかり、さらに夫に失望しました」
新婚当初はたまには掃除や洗濯をしてくれたこともあったのに、子どもが産まれて妻が忙しくなっているにもかかわらず、やらなくなっていた夫。それに気付きつつも、揉めるのが嫌で「やって」と言わなかった妻。そこに反省はあるとカヨコさんは言うが、そもそも夫も家族の一員なのだ。家事をやって当然という意識がないのが虚しい。
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