【女の子編】2024年上半期 赤ちゃんの名前ランキング！
2024年上半期「赤ちゃんの名前ランキング」（出典：ベビーカレンダー）
このような名前ランキングが発表されると、「今年の流行」という言い方がされがちです。しかしその年だけに見られた名前だけでは、人気の傾向とはいえず、3年、5年と続いたときにはじめてそれが流行といえるのです。それを踏まえたうえでここ数年の名づけの傾向を考察します。
名前の音や響きは、名づけた人の好みの表れ
名前の音や響き、つまり呼び名は、名づけた人の純粋な好みというものが表れます。女の子では「りん」「すい」「めい」など、二音の呼び名が目立ちます。昔も「あいこ」という女の子を「あいちゃん」と呼んだりしましたが、二音の名が年々増えつづけているのは、愛称のように呼びやすい名前にしたい傾向があるのでしょう。
ちなみに3位の「翠（すい）」は、かつてはほとんど「みどり」という読み方で名づけられていました。また8位の「陽菜（ひな）」は、もともとは「はるな」と読まれることのほうが多かった名前です。10位の「美桜（みお）」は、正式には「みおう」と読む名です。
これらの名前の呼び名の傾向が変わったのは、やはり二音の名を好む親が増えていることの表れといえそうです。
読みにくい名前は警戒心から？
ベスト10の中の「陽葵（ひまり）」「結愛（ゆあ）」「美桜（みお）」「蒼空（そら）」などは、辞典にない、やや強引な読み方の名前です。このような読み方のわかりにくい名前も、音の響きが好きで思いついたはずです。最近は、平成の時代によく見られた奇抜な名前はなくなってきていますが、呼び名としては普通でも、漢字で書かれると読めない、という名前は増えています。ほかに正しく読める漢字があるのに、なぜ正式に読めないほうをわざわざ使うのか。
それは名づけをする親たちが、読めない名前に抵抗がない、好むという背景に、社会というものに対する“警戒心”があるからではないでしょうか。
今は個人情報がやたら人に知られる恐い時代です。広い社会で積極的に多くの人と交わるのではなく、できるだけ気心の知れた人といたい、という感覚の人が多いのではないでしょうか。そうであれば、友人知人にしか読めない名前のほうが何となく安心感があるわけです。
読みにくい名前というのは、やはり女の子に多くつけられるという傾向はあります。
名前の文字は「欠乏」をあらわす
いっぽう名前によく使われる人気の文字には、マクロの視点でみると、その社会、その時代に求められているもの、逆にいえば欠けているものが表現されます。多くの人が欠乏しているものを無意識に使いたくなるのです。1位の「凛」は、2004年に人名用漢字に加えられた字です。それ以前に「使いたい」という要望が多かったわけではないのに、名前に使えるようになった直後から爆発的に人気が出ました。「凜」の字と似ていて、どちらも名前に使えるので混同しやすく、時代によって意味も変化している字なのですが、「勇気凛凛」という言葉もあり多くの人がよいイメージを感じるのでしょう。
またベスト10の名前のほとんどに、太陽、動物、植物、色彩など自然界を表わす字が使われています。これは平成のときからずっと続いて、今も変わらない傾向です。現代の人がいかに自然に飢え、環境破壊に不安を感じているか、ということがよくわかります。
またベスト10の中に2つ見られる「結」の字は、2000年ごろから増え、とくに新垣結衣さんの影響もあって、今も人気が続いています。そして2位の「紬」という名も、やはりイトヘンの字です。糸はモノをつなぐもの、結ぶものです。5位にある「依」、6位の「愛」も、やはり人のつながりを象徴し、高い人気が続いている字です。
今は単身世帯が増え、ネットショッピングやセルフレジなどもあり、人とコミュニケーションとらなくても買い物もできて便利な時代ではありますが、いっぽうで、人付き合いが希薄になってきていることからか、何十万人もの老人が行方不明になってもいます。
やはり人どうしのつながりが希薄になっているため、社会に警戒しながらも、人とつながりたいという願望、いいかえれば欠乏感があるのだといえそうです。
＜参考＞【2024年上半期速報】3.6万人を大調査、名前ランキング発表！女子は「レトロネーム」「フラワーネーム」が人気！男子はバレーボール日本代表・髙橋藍選手と同名が急増！（ベビーカレンダー）
