赤ちゃんの命名・名づけ

【2024年上半期】男の子の名前ランキングTOP10! 命名研究家が傾向を考察

株式会社ベビーカレンダーが「2024年上半期 赤ちゃんの名前ランキング」を発表。男の子の名前ランキングTOP3は、1位「蓮(れん)」、2位「凪(なぎ)」、3位「湊(みなと)」でした。命名研究家が名づけの傾向について考察します(サムネイル画像出典:ベビーカレンダー)。

牧野 くにお

執筆者:牧野 くにお

赤ちゃんの命名・名づけガイド

2024年上半期 男の子の名前ランキング

男の子の名前ランキングTOP10(出典:ベビーカレンダー「2024年上半期 赤ちゃんの名前ランキング」)

男の子の名前ランキングTOP10(出典:ベビーカレンダー「2024年上半期 赤ちゃんの名前ランキング」)

毎年、育児サイトや企業から名前ランキングが発表されると、上位に入った名前について「今年の流行」という言い方がされがちです。しかし、その年に見られただけでは人気の傾向とはいえず、3年、5年と続いたときにはじめてそれが流行といえるのです。

株式会社ベビーカレンダーが発表した「2024年上半期の赤ちゃんの名前ランキング」をもとに、男の子の名づけの傾向を考察します。
 

名前の呼び名は音や響きなどの好みが表れる

名前の呼び名は、名づけた人の音や響きなどの純粋な好みが表れます。

ベビーカレンダーが発表した男の子の名前ランキングでは、3位「湊(みなと)」、7位「湊斗(みなと)」、8位「陽翔(はると)」「結翔(ゆいと)」など、「と」で終わる呼び名の人気が高くなっています。

「と」の音は、「とっつく」「とっかかる」という言葉があるように、勢いのある行動を表すことがあるためか、男の子をイメージさせるかっこよい名前として人気があります。
 

辞書にのっていない、読みにくい名前は警戒心から?

最近は平成の時代によく見られた“奇抜な名前”はなくなってきています。いっぽう呼び名としては普通でも、漢字で書かれると読めないという名前が増えています。

ベビーカレンダーが発表した男の子の名前ランキングTOP10の3位の「蒼空(そら)」、6位の「碧(あおい)」、7位の「湊斗(みなと)」などは、辞典にのっていないやや強引な読み方の名前です。また8位の「陽翔(はると)」「結翔(ゆいと)」に含まれる「翔」の字は、「ト」と読んでもまちがいともいえませんが、「とぶ」という読み方は一部の辞典にしかのっていません。

このような読み方のわかりにくい名前というのも、はじめは音の響きが好きで思いついたはずです。しかし、辞書にものっている正しく読める漢字があるのに、読めないほうをあえて使っているのです。

なぜわざわざそんなことをするのか。それは社会というものに対する“警戒心”があるからではないかと筆者は考えます。今はインターネット上で個人情報が抜きとられるような怖い時代です。そんな社会のなかで積極的に多くの人と交わるのではなく、できるだけ気心の知れた人といたいという感覚の人が多いのではないでしょうか。そうであれば、友人知人にしか読めない名前のほうが何となく安心感があるわけです。
 

名前に使われる漢字に「願望」「欠乏」が表れる

いっぽう名前に使われる漢字は、マクロの視点でみるとその社会、その時代に求められているもの、逆にいえば欠けているものが表現されます。多くの人が欠乏しているものを無意識に使いたくなるのです。

ベビーカレンダーが発表した男の子の名前ランキングTOP10のすべてに、太陽や動植物、海、空、色彩、風など自然界を表わす漢字が使われています。この流れは90年代からずっと続いている傾向です。

現代の人がいかに自然に飢え、環境破壊に不安を感じているかということなのかもしれません。
 

男女共通で使える“中性的な”名前は男の子につけられやすい

性別を特定しない名前というのは、昭和の時代にも見られました。「一人暮らしの時に表札に書くのに安全だ」といって、どちらの性別でもつけられる名前を、女の子につける親がいました。しかし今は、防犯対策のために「猛犬注意」のステッカーを貼るなどの工夫をする人もいますし、表札は名字だけにとどめることも多くなり、女の子にそのような名前をつける必要はなくなりました。

いっぽう最近では、性別が逆転している名前や、どちらの性でもつけられる名前は、ほとんど男の子につけられるようになりました。女の子にも見られることはあるのですが、名づけられた時点では女の子につけられる名前で、のちに男の子にもつける名前として流行し、結果として男女不明の名前になってしまうというケースが多いのです。

今回の男の子の名前ランキングTOP10だけみても、2位「凪(なぎ)」は、2020年以後に女の子に増えてきた名前です。5位「暖(だん・はる)」は、2000年代に「ハル」と読む女の子の名前として人気が上昇したものです。6位「碧(あお・あおい)」は、90年代に「ミドリ」と読む女の子の名前として人気が出てきたものです。つまりこれらは、はじめは女の子につけられる名前だったのです。
 

だれかから名前をもらって命名。いつの時代も見られる「あやかり名」

ベビーカレンダーの発表によると2024年上半期は、バスケットの高橋藍選手をまねて39位「藍(らん)」という名前の人気が上昇したといわれています。

このように有名人や小説、ドラマ、アニメの登場人物をまねた名は「あやかり名」と呼ばれます。

西部ライオンズやレッドソックスで活躍した松坂大輔は、荒木大輔にあやかって名づけられましたが、偶然同じ世界で有名になりました。もちろん、一般的にはあやかって名づけられたとしても、同じ生き方になるわけではありません。
 

【参考】赤ちゃんの名前 よみランキング・漢字ランキング<男の子編>

男の子の名前ランキングTOP10(出典:ベビーカレンダー「2024年上半期 赤ちゃんの名前ランキング」)

男の子の名前よみランキング・漢字ランキングTOP10(出典:ベビーカレンダー「2024年上半期 赤ちゃんの名前ランキング」)


<参考>
【2024年上半期速報】3.6万人を大調査、名前ランキング発表!女子は「レトロネーム」「フラワーネーム」が人気!男子はバレーボール日本代表・髙橋藍選手と同名が急増!(ベビーカレンダー)

<関連記事>
【2024年上半期】女の子の名前ランキングTOP10! 命名研究家が傾向を考察
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