娘8歳で離婚を選択、元夫とは会わせなかった
20歳になった娘から、ショッキングな指摘を受けたばかりだというのはナナミさん(48歳)だ。娘が8歳のころ離婚し、女手ひとつで育ててきたのだが、元夫に娘を会わせたことはない。「娘は、『お母さんは私がお父さんを憎むように仕向けたんだよね』と言ったんです。そんなひどい言い方をされるなんて思ってもいなかった。ただ、元夫の不倫で離婚したので、どうしても許せなかったのは事実。こんな人に父親面されてたまるかと思ったんです。夫は養育費を送ってきては、『たまには会わせてほしい』と言ってきたけど、会わせたくなかった。娘にはお父さんがどんなにひどい人か、あなたも愛されてないのよと言ったかもしれません」
娘はここ1年ほど父親と連絡をとってきたこと、何度も会ったことも白状した。母から聞いていた印象と、実際に会った感じがあまりに違っていた。離婚後、父に会わせてもらえなかったことも知ったと激しい口調でナナミさんに詰め寄ったという。
娘に「私とお父さんの関係を裂いた」と指摘され
「『お母さんは私とお父さんの関係を裂いたんだよ、わかってる?』と。そんなつもりはなかった。でもよく考えると、私にとってひどい夫でも、娘にとってひどい父親とは限らないんですよね。娘は小さいころからパパっ子でしたし、離婚当時のことも覚えているからどうして父親に会えないんだろうとひとりで苦しんでいたみたいです。それをわかってあげられなかったのは私がいけなかった……」ナナミさんは心から娘に謝罪したが、娘の心は今、母親から離れているという。いつかわかってくれるはずだと信じているが、やるせない日々は続く。
「元夫から連絡もきました。1度、3人でちゃんと会おうと。元夫にも娘にも責められるかもしれないけど、やはりそうするしかないと思っています。これからの娘のためにも」
夫を嫌う気持ちを、娘に押しつけてしまうのは離婚家庭でなくてもありがちなことだ。だが、子どもには子どもの気持ちがあること、子と父との関係をどうするかは子どもの意志を尊重することが、なによりも重要なのかもしれない。