いくつになっても息子が一番の義母
義母にとって「いくつになっても息子が一番なんだろうなと思う」と言うのはサキエさん(45歳)だ。「息子の幸せが少しでも欠けるようなことがあれば、それは“嫁”のせいだと義母は思っているようです」
13歳と7歳の子がいるが、間でひとり流産したサキエさん。そのとき義母は「かわいそうに」とさめざめと泣いた。
「私は自分が同情されているんだと思ったんですが、義母がかわいそうだと言ったのは夫、つまり自分の息子のことだった。いや、目の前の私に同情してほしいんですけどと思いましたよ。そのときわかったんです。義母にとっては、一番大事なのは自分の息子。次は孫で、私は実家の犬より下かもしれない、と」
基本的に「嫁」は、いなくてもいい存在なのだが、いなくなれば息子がかわいそうな状況になるからいてもいい。ただ、自分の息子を大事にしてくれないなら闘う姿勢を見せるのが義母なのだとサキエさんは言う。
「夫は大事にしなさい、夫を立ててこそ妻と義母はよく言うんですが、そのわりには義父には冷たい。義父はいい人なんです。いつも『うちのおかあさんが失礼なことばかり言ってごめんね』とフォローしてくれる。義父がいるから、私も本気で義母に怒るのはやめようと思うほど。でも義父は義母に『あなたはいつもそうやって私の邪魔をする』と怒られている。義母の言動不一致は気になるところですね」
「妻というのは夫の好きなものを作るもの」
仕事を続けているサキエさんのもとには、ときどき義母から大量の作り置き惣菜が届けられる。味が濃い上、子どもたちの好みではないのだが捨てるわけにもいかず困っているのだそう。「余ってしまうので、夫から『まだ冷凍庫にあるから、しばらくいらない』と言ってもらったんですが、『古いのは捨てなさい』とまた新たに持ってきてしまう。味が濃いとか子どもが食べないとか言えませんからね。食品は無駄にしたくないので近所に配ったりもしていましたが、今どき、そういうこともしづらい世の中だし」
義母は持ってくるたび、「妻というのはね、こうやって夫の好きなものを作るものなの。あなたができないから私がやってるんだからね」とドヤ顔をする。困りながらも、さすがに「あなたの作ったものは誰も食べない」とは言えない。
「言えたらどんなに気持ちがいいかと思うこともありますが、そこは私も大人なので……。それこそ、もうちょっと義母が奥ゆかしい女性なら、うまくいくんだろうなと思うことがあります。結婚して15年、我慢することを覚えた私って偉いと思うしかありません」
義父母との関係は、どういう状況であろうとなかなか一筋縄ではいかないものなのかもしれない。