年金のプロに聞いた!年金を繰り下げて受け取る際の手続き方法と注意点
老齢基礎年金や老齢厚生年金は、65歳で受け取らずに、66歳以後75歳までの間に繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。ただし、昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなります。
繰り下げた期間によって年金額が増額となり、その増額率は一生かわりません。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り下げることもできますし、別々に繰り下げることもできます。
最近では、働けるうちは働くという方が増えてきており、老齢年金の受給も66歳以降に繰り下げすることを検討する方もいるのではないでしょうか。
今回は、富山年金事務所お客様相談室の中本室長に、年金を繰り下げて受け取る際の手続き方法と注意点を教えてもらいましょう。
老齢年金を66歳以降に繰り下げてもらうときの増額率は「繰り下げ月数×0.7%」
――老齢年金の繰り下げを仮にすると、どのくらい年金が増えますか?お客様相談室の中本室長:年金を繰り下げて受け取る場合の加算額は、本来受け取る年金額に増額率を乗じて計算されます。増額率は65歳に達した月から繰り下げを申し出された月の前月までの月数に0.7%を乗じて計算され、最大で84%となります。
繰下げによる増額率は以下の図をご参照ください。
●繰下げ増額率早見表
年金の一部または全額が支給停止となる在職老齢年金、加給年金額や振替加算額がある方などは注意が必要
――老齢年金の繰下げ請求をするときの注意点にはどんなものがありますか?お客様相談室の中本室長:65歳以後に厚生年金保険に加入していた期間がある場合や、70歳以後に厚生年金保険の適用事業所に勤務していた期間がある場合は、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります(※1)。その場合、支給停止されていた額を除いて繰り下げた加算額を計算します。
また、加給年金額や振替加算額は増額の対象とならず、繰り下げした年金を受け取るまでの待機期間中は、加給年金額や振替加算額を受け取ることができません。
その他の注意事項につきましては、お近くの年金事務所にご相談するか、日本年金機構のホームページをご確認ください(※2)。
※1:在職老齢年金制度
※2:繰り下げの注意点
――老齢年金の受け取りを66歳以降に繰り下げするときの手続き方法を教えてください。
お客様相談室の中本室長:繰り下げて年金の受け取りを希望される場合は、66歳以降で受け取りを希望される時期に、「繰下げ請求書」をお近くの年金事務所または街角の年金相談センターへご提出ください。添付書類についてご不明な点がある場合は、お近くの年金事務所へお問い合わせください。
まとめ
年金の繰り下げを希望する方は、お近くの年金事務所等で手続きができます。事前に老齢年金を繰り下げする際の注意点について確認しておきましょう。【関連記事をチェック】
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