お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

31歳、貯金は30万円ほど。共働きをしておりますが両家の親にも頼れず、毎日ギリギリの状態で働いています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、なかなかお金が貯められないが、子どもたちが進学に困らず、自分たちも老後を安心して暮らせるくらいのお金は貯めたいと考えている会社員の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。​​​​​​​

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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夫は収入が減ってしまったことがとても不安なようです

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、なかなかお金が貯められないが、子どもたちが進学に困らず、自分たちも老後を安心して暮らせるくらいのお金は貯めたいと考えている会社員の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
とにかく貯金をしたいです

とにかく貯金をしたいです

■相談者
ゆいママさん
女性/会社員/31歳
神奈川県/持ち家(一戸建て)

■家族構成
夫(会社員・33歳)、第1子(4歳)、第2子(2歳)

■相談内容
子どもの教育資金と老後の資金、両方貯めたいです。

現在共働きをしておりますが、両家の親にも頼れず、夫婦2人だけで毎日ギリギリの状態で働いています。理由としては2人とも通勤で1時間半とられることや、夫の仕事が徹夜や不規則なシフトで働いているので家事、育児の協力がなかなか得られにくいことが挙げられます。私も同じ職種ですが、現在は時短勤務で徹夜業務はありません。

共働きが必須なのは重々承知なのですが、子どもが小さいうちは仕事を辞めるか、多少手取りが減っても在宅などの仕事に転職したいと考えております。平日の目まぐるしい忙しさで体も正直持たないです。

貯金もしたいのですが、私が復職してから外食などで出費が重なり、せっかく世帯収入が増えても貯金ができていないのが現状です。仕事や家事・育児の疲れでストレスが溜まり、働く前よりも出費が増えている気がします。

とにかく貯金をしたいです。将来、子どもたちが進学に困らず、自分たちも老後を安心して暮らせるくらいのお金は貯めたいです。

拙い文章で申し訳ございませんが、ご教示のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

追記:私が先日から職場が変わり、給料、働き方が変わっております。職場の給与よりマイナス3万円となりましたが、週3日は在宅で土日祝休みとなります。前の職場より子育てに理解があり私自身は働きやすさを感じておりますが、夫は私の収入が減ってしまったことがとても不安なようです。夫は夫で副業をしており、金額は月によって変動がありますが、大体5万~10万円ほど入ってきます(収入には含んでおりません。すべて貯蓄に回しております)。

■家計収支データ
相談者「ゆいママ」さんの家計収支データ

相談者「ゆいママ」さんの家計収支データ

■家計収支データ補足
(1)家計収支について
・趣味娯楽費は2万円としましたが、月によって変わります。主に家族で外出した際に使用したり、夫婦の整体代になります。
・雑費に含まれている夫のPC購入代8800円は今月で終わります。私のPC・スマホ機種代の分割払いも雑費に含まれており来年7月に終わります。
・奨学金は、夫1万5600円(2031年まで)、私1万3000円(2027年まで)
・毎月の貯蓄は夫の副業分です。

(2)住宅ローンについて
・購入年/2023年
・ローン借入額/3800万円
・借入金利/0.6%
・返済期間/35年

(3)加入保険について
夫/
・無解約返戻金型終身医療保険(終身タイプ、保険金額・入院日額等5000円)=毎月の保険料1640円
・無解約返戻金型終身がん保険(終身タイプ、保険金額・入院日額等10万円)=810円
・生命保険(65歳まで払込、遺族年金・障害年金・介護年金すべて毎月10万円)=毎月の保険料3870円
・変額保険(有期型、保険期間65歳まで)=毎月の保険料2万2000円

相談者/
・無解約返戻金型終身医療保険(終身タイプ、保険金額・入院日額等5000円)=毎月の保険料1730円
・無解約返戻金型終身がん保険(終身タイプ、保険金額・入院日額等10万円)=毎月の保険料1050円
・変額保険(有期型、保険期間65歳まで)=毎月の保険料1万6000円

(4)子どもの進路について
2人とも高校までは公立、大学は私立文系までを考えております。できれば2人の希望に合った進路に進んでほしいので、余裕を持って準備したいと思っております。

(5)働き方と収入について
私は現在職場が変わり働きやすくはなりましたが、やはり給料は下がる形となってしまいました。退職金はなく、業績などによって年末に賞与が少しある程度です(2万円ほど)。夫も私も退職金はありません。夫自身は今の仕事は好きですが、やはり体力的にきつく長く続けることは考えてはいないそうです。役職がつくと昇給が見込めるのですが確証はありません。このままですと、給料交渉や他部署への異動といった形をとると給与が上がることがあります。

■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 3年かけて貯蓄体質の家計に。先取りで決まった額を貯蓄すること
アドバイス2 毎年2万円の支出削減で、3年で300万円貯める
アドバイス3 4年目以降は、年間120万円の貯蓄をキープ。教育費の確保を優先

アドバイス1 3年かけて貯蓄体質の家計に。先取りで決まった額を貯蓄すること

まずは、職場が変わり、体力的にも精神的にもラクになったようで、よかったです。収入は減ってしまいましたが、ここから家計を見直して、3年かけて、貯蓄ができる家計にしていきましょう。

とはいえ、現状は収支差が2万3000円ほどあり、これは普通預金に残っていくとのことですが、何かしらに使っていませんか? 実質的な貯蓄は、ご主人の副業収入のみです。貯蓄体質の家計になるためには、支出を見直し、家計から確実に貯蓄をすることです。

支出の見直しとしては、保険、食費、趣味娯楽費、小遣い、雑費で減らしていきましょう。

保険については、変額保険は払い済み保険にしてください。貯蓄代わり、老後資金のつもりで加入したかもしれませんが、子どもが小さいうちは、割安な定期保険で必要な保障額を得ることが先決です。ご主人は生命保険と住宅ローンに付帯している団体信用生命保険に加入していれば、最低限の保障は確保できています。

ご相談者は変額年金を解約と同時に、保険金額1000万円、保険期間15年(第2子が高校入学まで)の定期保険に加入してください。ご相談者の収入は家計の半分を支えていますので、死亡保障が必要になります。保険料は毎月2000円程度で済むはずです。また、こだわりがなければ、2人とも、がん保険は不要です。医療保険だけで十分です。保険を見直すことで、3万8000円ほど削減できます。

食費、趣味娯楽費、小遣い、雑費ですが、これらを合計すると20万円になります。収入の約4割を占めています。それぞれ理由があるとは思いますが、どこからでも構いませんので、全体で2万円の削減を目指してください。さらに、PC購入代の分割払い8800円が終了します。

保険の見直しで3万8000円、食費などで2万8800円、合計6万6800円の削減です。毎月の貯蓄額は6万5000円。年間78万円です。1年目は、これを目標に家計管理をなさってみてください。

毎月の貯蓄は残ったら貯蓄ではなく、給料が振り込まれたら、6万5000円を別の口座(給与振り込み口座から自動積立定期にするなど)に振り分け、残ったお金で生活することが重要です。先取りで貯蓄しなければ、貯蓄体質にはなれません。

アドバイス2 毎年2万円の支出削減で、3年で300万円貯める

1年目で目標に近づけたら、2年目はステップアップです。PC・スマホの分割払いが終われば、通信費を見直してください。仕事柄、サブスクなどが必要なのかもしれませんが、夫婦2人であればプランを見直して1万円は削減できるはずです。加えて、食費などの支出をさらに削減をします。1年目から2万円の削減で、その分は貯蓄に上乗せします。毎月の貯蓄額は8万5000円になり、年間で102万円です。

3年目は、さらに2万円の削減で、毎月貯蓄額は10万5000円。年間126万円。この3年で貯蓄額は306万円と現在の貯蓄34万円を加えて340万円になります。

これから子どもが大きくなるにつれ、支出はかさんでいきます。そのなかで削減していくのは、大変なことだと思います。しかし、この3年で貯蓄体質の家計に生まれ変われないと、子どもの進学にも影響がでてきます。どこをどう削るのかは、ご夫婦の話し合いで決めても構いません。

3年後には子どもは7歳と5歳。340万円の貯蓄ができていれば、小学校の入学準備は十分できるでしょう。

アドバイス3 4年目以降は、年間120万円の貯蓄をキープ。教育費の確保を優先

4年目以降は、年間120万円の貯蓄をキープできれば、高校、大学進学の費用も問題なく対応できるでしょう。

この後、奨学金の返済が終了すれば、その分を貯蓄に回せます。子どもが小学校に上がったら、ご相談者は通常勤務に戻り、収入アップを目指すこともできます。その時点で、その後のマネープランは変わってきますので、あらためてご相談をお寄せください。現段階では長期的なアドバイスはできません。まずは、3年、頑張ってみてください。

貯蓄に関しては、ご主人の副業の収入をすべて貯蓄しているから、と思われているかもしれません。ここでは、その分は加味していません。ご主人もハードな仕事のようですから、副業収入が継続して得られるかも不確定です。何よりも体が心配です。貯蓄が副業頼みでは、心許ないのです。もしも継続して副業収入を貯蓄できたらなら、それは生活費以外でお使いになられるといいでしょう。家族で旅行もしたいでしょう。場合によっては、転職などで当面の収入代わりに使うなど、これから起きる何かのために別にしておかれるといいと思います。

今は、子どもの教育費の確保を優先し、家計から貯蓄を先取りでしていくことです。ご夫婦で話し合ってみてください。3年後のご相談を待っていますよ。

相談者「ゆいママ」さんから寄せられた感想

先生からのアドバイスを夫婦2人で拝読し、今の収入でもしっかりと貯蓄ができることにとても安堵しました。また、薄々感じてはいましたが、やはり無駄な出費が多いということに気づくことができました。働き方も変わり時間と心に余裕もできたので、この機会にしっかりとお金と向き合いたいと思います。減らせるところはしっかり減らして貯蓄に回し、3年後にまた深野先生に良い報告ができるよう夫婦2人で頑張ります。今回は本当にありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子
 
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