「そういう子って…」またも捨てゼリフ
数カ月前、保育園に息子を迎えに行って、のんびり帰る道すがら。交差点で自転車に子どもを乗せたユイさんと顔を合わせた。ところが、信号が青に変わっても息子は道端の雑草に気をとられて動こうとしない。「ほら、行くよと声をかけても動かない。しょうがないなあと手をつないで一緒にしゃがみこもうとしたら、ユイさんが『行かないの?』と。こんなんだから、もうちょっと付き合うわと苦笑したら、『信じられない。そういう子、ろくなもんにならないわよ』と。何か言い返そうと思ったけど、相変わらず自転車で疾走していってしまいました。ああやって子どもの将来を断言するような嫌味にどう対処したらいいかもわからない」
せっかく以前より時間的余裕ができたから、頑固で凝り性な息子に付き合ってみようとジュンコさんは思っている。それをユイさんにとやかく言われる筋合いはない。ユイさんはいつもせわしなくて大変そうだとは思うが、かつてジュンコさんも同じだった。たまたま環境が変わっただけなのだが、ユイさんはそれが気に食わないのだろう。
表向きは頼れるいい人キャラ
「自転車での捨て台詞攻撃は続いています。彼女の姿を見たら私は離れるようにしているんですが、信号待ちのときなど自転車でそばに来るんですよ。それで『息子ちゃんの偏執狂は病気じゃないの?』と先日も言われました。『いいかげんにしてよ』と叫んだのですが聞こえたかどうか。ただユイさんって、責任感が強いから周りから頼られてもいるんです。小学校では役員をしているし、保育園でもバザーなどの中心的人物。だから彼女のことは誰にも相談もできないし愚痴も言えない。みんな頼れるいい人だと思っているから」だからひとりでじっと我慢するしかないのだという。彼女の本性を暴いてもしかたがない。それとなく離れ、言葉を交わさないように気をつけるしかないと思っているそうだ。
「でもなんだか悔しくてね……。夫に話して憂さ晴らしするしかありません。夫は『今日は何を言われた?』とおもしろがるようにさえなってきて(笑)。私も真正面から受け止めないようにしようと思っています」
ユイさんにとって、ジュンコさんに嫌味を投げつけるのが唯一のストレス解消になっているのかもしれない。そう考えると、腹立たしいけど、なんとなくやるせない気もすると彼女はつぶやいた。