Q. 湿布のにおいが苦手です。臭くない湿布は効果も弱いですか?
湿布を貼ると痛みがやわらぐけど、においが気になる……臭くない湿布は効果がない?
Q. 「湿布のにおいが苦手です。なぜあんなに臭いのでしょうか? 周りの人も不快なのではないかと思って、腰痛がひどいときも貼るのを躊躇してしまいます。においのない湿布は、あまり効かないのでしょうか?」
A. 3つの成分がにおいの原因ですが、最近は無臭性で効く湿布もあります
湿布の独特なにおいの元は、以下の3つの成分のいずれかによるものです。一つめは「サリチル酸メチル」です。炎症や痛みを鎮める薬効成分そのもので、昔の湿布には必ずこれが入っていました。質問者の方が「湿布臭い」と書かれているにおいは、きっとこれによるものでしょう。
二つめは「メントール」です。「メンソール」「ハッカ油」とも呼ばれます。いわゆる「ハッカ臭」とも呼ばれる独特な芳香ですが、どちらかと言うと爽快な香りなので、むしろ好きという人もいるでしょう。歯磨き粉やチューインガムなどの菓子類、口中清涼剤などにも使われています。湿布に添加されているのは、血管を拡張させることで血の巡りを良くしたり、皮膚を刺激することで痛みを感じにくくしたりする効果があるからです。
三つ目は「カンフル」です。「カンファ―」と呼ばれることもあります。日本語では「しょうのう(樟脳)」としても知られる成分です。血行を促進する、痛みやかゆみを鎮める、炎症を抑えるるなどの効果があるので、湿布やかゆみ止めに添加されています。清涼感を与えてくれるので、リップクリームなどに使われていることもあります。クスノキの枝や葉の独特のにおいの元が、まさにこの「カンフル」で、防虫剤や防腐剤としても利用されています。一般には「強く刺すような香り」と言われます(※だからこそ防虫に用いられているのです)が、自然の木の香りでもあるので、嫌いではないという方もいるでしょう。
現在のように、抗炎症作用や鎮痛作用がある薬があまりなかった時代の湿布には、上記の「サリチル酸メチル」「メントール」「カンフル」のいずれかが必ず含まれていました。そのため「湿布=臭い」というのはお決まりで、「臭いほうがよく効く」と考える人もいたくらいです。しかし今は、新しい抗炎症薬や鎮痛薬ががたくさん見つかり、製品として使えるようになりました。それらの成分の湿布は、ほとんどにおいがしません。においが気になる方は製品のパッケージを見て「無臭性」「無香性」の表示があるものを選ぶといいでしょう。「においがしない湿布は効かない」ということはありません。よくわからず不安に思う方は、薬局で薬剤師に相談してみてください。たくさんの商品の中からあなたに合ったものを教えてくれるでしょう。