NHK連続ドラマ小説『花子とアン』の影響
――多くの映画作品に出演していらっしゃいますが、依頼があったとき引き受けるか否かの基準はありますか? ポイントとなることがあったら教えてください。土屋:私はまだ自分で判断するほどの立場にないので、基準のようなものは特にないのですが、改めて考えてみると、どんなジャンルの作品であれ、「その作品が伝えたいと願うものを、私自身がその作品から感じ取れるかどうか」という点を大切にしてきたと思います。 ――これまでの出演作(ドラマも含め)で、俳優としてターニングポイントになった作品はありますか? その理由も含めて教えてください。
土屋:おおげさでなく全部です。どれか1つでも出会えていなかったら今につながっていないと思うので、全部の作品と役が私にとって忘れられない存在です。
でも、あえて1つだけ挙げるならNHK連続テレビ小説『花子とアン』(2014)かもしれません。『花子とアン』があったから『まれ』(2015)につながったと思いますし、1人の役の10代から50代までを演じたのも初めてでしたし、演技的にも挑戦することが多く、反響も大きい作品でした。
大学の友人と京都へ旅行に行ったときに、祇園のお店で買い物をしていたら、店員さんが「今日の朝ドラ、すごく良かったのよ、ももちゃんという女の子が良くてね」とお話ししてくださって、思わず「あ、私、ももです!」と言ったらすごく喜んでくださいました。そういった反応をいただくようになった最初の作品が『花子とアン』だったなと思います。
映画『シザーハンズ』に大号泣した思い出
――好きな映画、あるいは、思い出の映画はありますか? また、『マッチング』のようなサスペンスホラーで好きな作品があったら教えてください。土屋:好きな映画は本当にたくさんあるのですが、私が演技というものに最初に衝撃を受けた作品を挙げると、ティム・バートン監督の『シザーハンズ』(1991)です。小学校3年生のときに偶然テレビで見たのですが、あまりに切なくて悲しくて号泣しながら「演技ってすごい!」と衝撃を受けました。
サスペンスやホラーに関しては、基本的に怖い作品が苦手なのであまり見ることができないんです。今までサスペンスやホラー的な作品に出演させていただきましたが、いつもお守りをいっぱい持って撮影に臨んでいました。
――なるほど、そうだったのですね。
土屋:ホラーとは違うかもしれないのですが、映画『アマデウス』(1985)でモーツァルトを追い詰めていくサリエリの姿には何とも言えない怖さを感じました。その怖さの中には「誰もが陥ってしまいそうなもの」が隠れているような気がして、少し『マッチング』の持つ怖さに似ているような気がします。
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