インプレゾンビは人気のある(バズった)投稿に無関係な返信を行ったり、投稿を転載することでインプレッションを稼ぎ、収益を得ようとします。
Xで収益化を行うには
- 有料のプレミアム会員に加入
- フォロワー数が500人以上
- 過去3カ月間の投稿に対するインプレッションが500万件以上
の3つの条件を満たす必要がありますが、3の条件を達成するにはかなりの時間や労力を必要とします。そこでインプレゾンビはバズった投稿のリプライに出没することでインプレッションを稼ぎ、収益化条件を達成しようとしているのです。
インプレゾンビの特徴
インプレゾンビの特徴として、以下のようなリプライを投稿することが挙げられます。- 絵文字のみ
- 外国語
- 元の投稿とは無関係な内容(画像・動画も含む)
- 機械翻訳したような不自然な内容
- 他の投稿のコピペ
- 挑発的な内容
地震災害で問題となったインプレゾンビ
インプレゾンビはXの収益化開始とともに発生しましたが、その存在がより問題視されるきっかけとなったのが、2024年1月に発生した能登半島地震です。地震発生時に、実在しない住所からSOSを求める投稿をする、政府・自治体の投稿が意味不明なリプライで埋め尽くされるなど、救援活動の妨げとなる行動が多発しました。また、東日本大震災の動画を添付し、能登半島地震による津波であると誤認させる投稿も行われました。本来、Xは災害発生時に救援要請や支援情報をリアルタイムに発信することができる有用なツールでした。しかし、今回の地震をきっかけに、インプレゾンビが「リプライ欄を埋め尽くす邪魔な存在」というだけでなく、「明確な実害や混乱をもたらす存在」と認識されるようになっています。
海外のインプレゾンビから狙われる日本
NHKが能登半島地震における偽の救助要請の投稿について調査したところ、多くは海外から投稿されていることがわかりました。こうした投稿は南アジアや中東地域からのものが多く、低所得の国の人々がSNSを通じて利益を得ようとしていると見られています。また、日本はユーザーあたりのX利用時間が世界1位であり、これも海外から日本が狙い撃ちにされる要因であると考えられます。
X社の対応は? Xユーザーはどう対処するのがいい?
インプレゾンビによる無関係のリプライはXの利用規約に違反しているわけではないため、Xも抜本的な対策を行うことができていないのが現状です(災害や戦争に関する投稿を収益化に利用することは利用規約で禁止されていますが)。公式の対策がないことから、ユーザー自身が対処法を模索しており、あるユーザーは「インプレゾンビ発生条件分析実験」なるものを行い、そこからインプレゾンビは投稿直後に発生するため、「リプライ欄を閉鎖した状態で投稿し、一定時間空けてからリプライ欄を開放する」といった対処法を考案しました。ただし、有効な時間は9時間としているため、考案者自身もあまり現実的ではないと述べています。
現状では地道に、該当する投稿を非表示にする、スパムとして報告する、ブロックを行うことが最も効果的であるとされています。
インプレゾンビの撃退に役立つChrome拡張機能も
こうした非表示やブロック作業をスムーズに行えるChrome拡張機能をいくつか紹介します。・Control Panel for Twitter
元々はXをカスタマイズするための拡張機能ですが、認証済みアカウント(収益化するためには認証済みであることが条件)を非表示にしたり、確認画面を飛ばして即ブロックするなど、インプレゾンビの撃退に役立つ機能も備えています。
・Twitter No Spam
日本語以外の言語によるリプライを非表示にすることができます。前述のようにインプレゾンビは海外からの投稿が多いため、外国語を含む投稿をまとめて非表示にします。ただし、日本語に翻訳された投稿もあるため、効果は限定的です。
・VeriBlock on Twitter
認証済みアカウントからのリプライを非表示にすることができます。
・Clean-Spam-Link-Tweet
元々は悪意のあるスパムリンクを可視化する拡張機能です。ワンクリックで報告&ミュート・ブロックをすることができます。
インプレゾンビに「話しかける」ユニークな撃退法が話題に
こうした中、ネット上では「インプレゾンビの投稿に話しかける」という撃退法を考案したユーザーが話題になっています。インプレゾンビにはChatGPTなどの生成AIを用いて完全に自動化されたボットアカウントもあります。生成AIが投稿したリプライに「今日の夕食の献立とレシピを考えて」などと返信すると、生成AIはそれに対し自動的に返答します。この仕組みを利用し、生成AIが使用上限に達するまで返信し続けるというものです。
あまり実用的とはいえませんが、このようなユニークな発想が出てくるのもXの良さのひとつといえます。