Q. ヒルドイドを安く買いたいのですが、皮膚科で処方してもらえますか?
「ヒルドイドを処方してもらえますか?」 美容目的のヒルドイド処方の違法性は?
美容目的で使うヒルドイドを安く手に入れるために、保険適用で処方してもらおうとする方が増え、一時期問題になりました。法律的に許されることなのか、どのような問題があるのか、わかりやすく解説します。
Q. 「コスパのいい保湿剤を探していたところ、病院に行けばヒルドイドが安く手に入れられてお得という情報を見つけました。特に肌の病気などはないのですが、皮膚科に行けば保険適用のヒルドイドを処方してもらえるのでしょうか? どう伝えれば、処方してもらえますか?」
A. 違法行為なので控えましょう。支払いの7割を無関係な人に負担させる行為です
ヒルドイドは、以下のような疾患に対する治療薬として認められている医療用医薬品です。血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)
以前、これらの皮膚の病気でもないのに、皮膚科医院でヒルドイドを処方してもらい、美容目的の化粧品のように利用する人が増え、厚生労働省が規制を検討するほどの問題になったこともあります。ヒルドイドと同様のヘパリン類似物質を含有したクリームなどは市販薬としても流通していますし、お肌のケアだけを目的とするなら、ドラッグストアなどで買うことも可能です。目的にもよりますが、乾燥肌の改善などを目的に、ご自身でこういった既製品を買うことは、もちろん何も問題ありません。
問題なのは、「処方薬として」手に入れようとすることです。美容目的にも関わらず、処方薬としてヒルドイドを病院で入手しようとする人は、「少しでも安く、ヒルドイドを手に入れたい」という気持ちがあるようです。確かに、保険適用の処方薬として出してもらえば「3割負担」で済み、見かけ上は安く済むかもしれません。この仕組みを悪用して、「市販薬を買うより、皮膚科の先生に頼んで処方してもらった方がお得」と、まるで耳寄り情報かのように個人で発信している方も見かけます。
しかし、これは違法行為です。自分が払うのは3割で済むかもしれませんが、残りの7割は他の保険者に払わせていることになります。今の日本の保険制度は崩壊寸前ともいわれている状況ですが、それを後押しするような行為です。本来の適応ではない美容目的で処方薬を個人が入手することも、医師が処方することも、とても問題がある行為だという意識を持つべきでしょう。
美容に気をつかうことは素敵なことだと思いますが、「ズルい方法」「違法な方法」を選ばないモラルを持つことは、その人の内面の美しさにつながるのではないかと思います。