今回は、50歳からできる、年金を多くもらう方法を4つ紹介します。
50歳からできる年金を多くもらう方法1:付加年金に加入する
付加年金は、自営業者やフリーランスなど国民年金に加入している方を対象とした年金の上乗せ制度です。国民年金の保険料に毎月400円を上乗せして支払います。付加年金として老齢基礎年金に加算される額は、「200円×付加年金の納付月数」で計算します。仮に50~60歳までの10年間、付加年金に加入した場合の支払った額と受取った額を比較すると次のとおりです。
・支払額(10年分):400円×120カ月=4万8000円
・受取額(1年分) :200円×120カ月=2万4000円
65歳から老齢基礎年金を受け取るとすれば、老齢基礎年金に付加年金の年額2万4000円がプラスされ、一生涯受け取ることができます。
つまり、付加年金は10年加入して4万8000円支払ったとしても、2年で同額の4万8000円が受取れるため、とてもお得な制度です。
50歳からできる年金を多くもらう方法2:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)に加入する
iDeCoは、毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された金融商品(定期預金・保険・投資信託など)を自ら運用する制度で老後資金を準備する制度です。運用の成果は原則60歳以降に一時金または年金で受け取ることになります。iDeCoの掛金は月額5000円からですが、自営業者か会社員か、会社が企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入しているか否か、などで掛金の上限額が決まっています。
また、iDeCoは「拠出時」「運用時」「受取時」のいずれの場合も税制優遇があるのが特徴です。
たとえば退職金制度のない方や、節税を兼ねた投資を考えている方にとっては、50歳からのiDeCo加入でも、所得税や住民税を抑えることもできるため、節税を兼ねた老後資金の準備が可能となります。
50歳からできる年金を多くもらう方法3:国民年金基金に加入する
国民年金基金は、フリーランスや自営業者などの方々が、年金を上乗せするための制度です。公的年金と同じく、終身にわたり年金を受け取れます。国民年金基金の掛金の上限は6万8000円までです。掛金はiDeCoのように全額所得から控除できるので、所得税や住民税を安くできます。
ただし、付加年金とは併用できないことや、iDeCoと併用する場合は、iDeCoと国民年金基金の合計で6万8000円までと掛金枠が決まっていることに注意しましょう。
50歳からできる年金を多くもらう方法4:厚生年金の加入上限である70歳まで働く
年金を多くもらいたいと考えるなら、厚生年金に入れる働き方を選び、定年後もできる限り働くことを考えましょう(厚生年金に入る場合、方法1と方法3の併用はできません)。会社など厚生年金保険の適用事業所に勤めているといった条件を満たせば、厚生年金には原則70歳まで加入することができ、厚生年金の加入期間に応じて老齢厚生年金が老齢基礎年金に上乗せされて受給できます。そのため、60歳以降も働き、厚生年金に加入するのであれば、その期間分、受け取れる老齢厚生年金が増えます。
老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた期間によって、以下のA、Bの計算式に分けて計算し、合計した金額が支給されます。
・老齢厚生年金受給額=A+B
・A:平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数
・B:平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数
(1円未満は四捨五入)
※昭和21年4月1日以前生まれの人については、Bの計算式の給付乗率が異なります
標準報酬月額とは、毎月の保険料(健康保険や介護保険、厚生年金保険)を計算するための基準となる金額です。健康保険の場合は第1等級(5万8000円)から第50等級(139万円)までの50段階、厚生年金保険の場合は第1等級(8万8000円)から第32等級(65万円)の32段階に区分されています。
たとえば、60~70歳まで10年間(120カ月)を再雇用で働き厚生年金に加入した場合、老齢厚生年金がいくら増えるのかを試算してみましょう。計算するにあたり上記2つの計算式のうち、「B:平成15年4月以降の加入月数」を使用します。
《60~70歳まで10年間(120カ月)働いた場合》
・標準報酬月額が15万円:15万円×5.481/1000×120カ月=9万8658円
・標準報酬月額が20万円:20万円×5.481/1000×120カ月=13万1544円
もし、60歳以降10年間厚生年金に加入した場合、標準報酬月額が15万~20万円ですと、年間の老齢厚生年金の受取額が約10万~13万円が増えることになります。