住宅購入のお金

【正直不動産2 第1話のあらすじをFPが考察】不動産営業マンが勧めてくる物件は誰のため?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。1月9日の第1話の放送内容を踏まえ、お家探しの場面で住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

執筆者:All About 編集部

  • Comment Page Icon
不動産営業マン

ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。

山下智久さんが演じる、嘘のつけない不動産営業マン・永瀬財地が活躍する不動産業界のお仕事コメディーシリーズ第2弾「正直不動産2」(NHK総合)。

1月9日の第1話の放送内容を踏まえ、お家探しの場面で住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

第1回の放送内容のおさらい、ネタバレ

不動産営業マンの永瀬財地はある日、タワーマンションの購入を希望する3人家族を現地に案内していた。

そこに永瀬のかつての師匠であり、競合する不動産会社の社員である神木涼真(ディーン・フジオカ)が現れ、永瀬が別件の対応に追われる隙に客を奪ってしまう。

神木の言葉巧みな営業トークに乗せられ、あっという間にタワマンの購入を決める3人家族の夫。しかし妻と息子は不安げな表情を見せる。実は妻は交通事故の後遺症で足が少し不自由であることを夫に告げておらず、妻と息子だけがタワマンの高層階で地震が起きてエレベーターが止まってしまった場合のことを気にしているのだった……。

住宅業界のここだけは気をつけたいポイント3つ

今回のケースでは、タワーマンションの購入をそのまま勧めることが「お客様が一番幸せになれる家」の提案ではないことを教える内容でした。

お客様の足が不自由なことを知らない、あるいは、知らないことにしてそのままタワーマンションの契約をするのか、契約成立直前であっても改めてタワーマンション以外の低層マンションなどを提案し直すのかで、「不正直不動産」なのか「正直不動産」なのかが分かれます。

今回の「正直不動産」では、不動産物件の案内中や打ち合わせ中のお客様の表情や行動から不動産営業マンが察して、「お客様が一番幸せになれる家」の提案ができるのかという高度なものでしたが、現実の住宅業界ではさまざまなひどい提案が行われています。

ここでは特に気をつけたいポイントを3つ紹介します。

(1)マンションの購入希望なのに土地を勧められる
建築系の不動産業者にありがちです。マンションを探していても、マンションには管理費や修繕積立金などの費用がかかるなどのデメリットを伝えて、戸建を勧めてきます。そして、「どうせなら注文住宅でゼロから思いのままのマイホームを実現しませんか」と土地の購入を勧めてくるのです。

マンションには管理費や修繕積立金などの費用がかかるというのは嘘ではありませんが、自社で建築してもらうことで、マンションを紹介したときの仲介手数料以上の利益を得ようとしているのです。

(2)賃貸を希望しているのに購入を勧められる
売買メインの不動産業者にありがちです。賃貸で探しているお客様が、学生であればさすがに諦めるかとは思いますが、住宅ローンを組めそうなファミリー層に対しては、マイホームの購入を勧めてきます。

月々の家賃を払うことは大家さんを儲けさせるだけで、お金を捨てているようなものだと説明し、賃貸よりも購入のほうがお得ということで、購入して資産を築くことを勧められるのです。住宅ローンの返済が終われば、固定資産税などの税金だけで、費用がかからず住み続けられるとも勧めてくるでしょう。

自分にも住宅ローンを組める可能性があることを知らなかったお客様には、良い提案になるかもしれませんが、賃貸の仲介手数料よりも高い売買の仲介手数料を狙った不動産営業マン本位の提案であることは否定できません。

(3)売りに出されている全部屋を内見したいのに、限られたお部屋だけを勧められる
大規模なマンションでは、数室が同時に売りに出されていることもありますが、不動産営業マンが紹介したがるお部屋と紹介したがらないお部屋があります。

多くの場合は、不動産営業マンの事情にしかすぎません。お部屋の売主から売却の依頼を受け、媒介契約が結ばれていることで、仲介手数料を売主からももらって売上を伸ばすことを狙っているのです。

「心ない」不動産屋につけ込まれないためには?

不動産営業マンは会社から売上目標を求められているため、多くの契約を獲得し、ひとつひとつの契約からなるべく大きな利益を出すことが重要です。このため、不動産取引においては、不動産営業マンにメリットのある不動産が勧められるという現実が多いのも事実です。もちろん、本当にカスタマーファーストで提案してくれている場合も存在します。ただ、頻繁に不動産屋を利用する方でなければ見極めが難しいでしょう。

だからこそ、まずは自分の希望を整理し、家族間で希望を調整することが重要です。また、事前にSUUMOやアットホーム、ライフルホームズなどの主要な不動産検索サイトで物件を絞り込んでおくことも重要です。

そして、初回の打ち合わせの際には、不動産営業マンに希望を事細かく伝えることが重要です。たまたま運が良く、カスタマーファーストの不動産営業マンに当たれば、伝えきれなかった希望も察してくれるでしょうが、多くの場合は、タワーマンションを買いたいと言えばタワーマンションが提案されます。もっと悪いことには、希望していない不動産を勧められることだってあるのです。

事前に少しでも準備していれば、たとえ、不動産検索サイトに掲載されていなかった物件を提案されても、絞り込んでいた物件との比較で、自分のための提案なのか不動産営業マンのための提案なのかを判断できるかもしれません。

お家探しでは、「心ない」不動産屋につけ込まれかねないので、注意しなければいけませんね。

文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。

【関連記事】
【正直不動産2 第2話のあらすじをFPが考察】不動産屋が説明したがらない?賃貸物件の意外なリスク
【正直不動産2 第3話のあらすじをFPが考察】ミネルヴァ不動産は「買い叩きすぎ」は本当?
【正直不動産2 第4話のあらすじをFPが考察】実は不公平?賃貸で当たり前になってきた予期せぬ契約とは
【正直不動産2 第5話のあらすじをFPが考察】資金計画の提案の仕方で不動産屋の「正直度」がわかる?
【正直不動産2 第6話のあらすじをFPが考察】不動産営業マンによって諸費用が変わる?
【正直不動産2 第7話のあらすじをFPが考察】違法行為の「契約の誘引」は実際にあるの?
【正直不動産2 第8話のあらすじをFPが考察】あなたの顧客情報は大丈夫?
【正直不動産2 第9話のあらすじをFPが考察】サブリース契約は危ない?
【正直不動産2 第10話のあらすじをFPが考察】移転登記しないと大変なことになる
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます