住宅購入のお金

【正直不動産2 第3話のあらすじをFPが考察】ミネルヴァ不動産は「買い叩きすぎ」は本当?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。1月23日の第3話の放送内容を踏まえ、不動産を売却する場面で住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

執筆者:All About 編集部

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買取価格を提示する女性

ドラマで「買い叩きすぎ」と批判されたミネルヴァ不動産の買取価格は実は適正?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。

山下智久さんが演じる、嘘のつけない不動産営業マン・永瀬財地が活躍する不動産業界のお仕事コメディーシリーズ第2弾「正直不動産2」(NHK総合)。

1月23日の第3話の放送内容を踏まえ、不動産を売却する場面で住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

第3回の放送内容のおさらい、ネタバレ

狭小住宅、いわゆるペンシルハウス(鉛筆のように細長い家)に住むある夫妻は、マイホームの売却を希望している。一人娘のためにピアノを置ける広い家に引っ越したいのである。

狭小住宅の手狭感や風通し、日当たりの悪さもあって、登坂不動産の永瀬の後輩で担当の月下(福原遥)は買い手を見つけられずに苦戦する。一方、ライバル会社であるミネルヴァ不動産の花澤(倉科カナ)も同じ物件を担当することになり……。

ドラマの売り出し価格は現実とかけ離れている?

今回の「正直不動産」では、5年前に5800万円で購入した建売住宅を5300万円で売り出すものの、買い手が見つからないことから、価格をさらに下げ、4300万円で売り出すのか、あるいは、すぐに引っ越すためにも、不動産屋さんの買取サービス(*)を利用して3500万円で手放そうかというものでした。

*不動産会社が直接物件を買い取るサービスのこと。一般的な不動産売買の方法である仲介と比べて早く売却できるが、市場価格よりも安く買い取られるというデメリットがある。

確かに、不動産取引にはご縁やタイミングもあるため、買い手が見つかるまで時間がかかることがあります。しかし、一般的な居住用の物件で半年経っても売れないとなると、相場からずれていると判断して、売却価格を見直さなければなりません。

この点、今回のドラマのように、買ったときの不動産屋さんと売るときの不動産屋さんが一緒だと、買うときに不動産営業マンが売り文句で「駅近の希少物件なので、リセールしやすい」などと言った手前、あまりにも価格を下げての販売はしにくいのが実情でしょう。

一方、ライバル不動産会社であれば、買い手が見つからないのは価格の問題だとして、価格を下げる提案をしやすいともいえます。もっとも、ドラマの中ではミネルヴァ不動産の花澤が顧客に対し、当初の希望価格から一気に1000万円下げて4300万円で売りに出すことを提案していますが、実務的には4980万円や4800万円など5000万円を切る金額で一度は当たりを見ることが多いように感じます。

なぜならば、不動産検索サイトでは500万円単位で検索条件を変えることができるため、5000万円を切ればこれまで買い手になりえなかった購入希望者層も対象になるためです。また逆に、あまりにも早く売れた場合、4800万円でも売れたのではないか、少なくとも4500万円では売れたのではないかと、遺恨を残す可能性もあるためです。

以上の点を踏まえると、現実では5300万円で売りに出している物件を1000万円低い金額で売りに出すよう提案される可能性は低いといえるでしょう。

また、夫妻の口喧嘩が絶えない中、妻がミネルヴァ不動産の花澤に別居を勧められ、別居を拒む夫が売りを急ぐというくだりについても、現実的ではないように感じます。夫婦仲が悪いように見えても、夫は別居を望んでおらず、一方の妻は別居も選択肢に入れている。このような状況を花澤が即座に判断した上で、仲介ではなく買取サービスの利用を顧客に勧めているのは、顧客の家庭不和に乗じたあまりにも高度な売りを急がせる提案といえるではないでしょうか。

これに対して登坂不動産の永瀬らの提案は、現在の家が手狭ならば隣の家を買って手狭感を解消しようというものでした。理に適っているといえばそうなのですが、ウルトラC的な解決策であったようにも思えます。

売り急ぐと売却価格は相場の7~8割になる?

もっとも、ミネルヴァ不動産の花澤が提示した買取価格3500万円に対し、「それはさすがに買い叩きすぎです!」と登坂不動産の月下が食ってかかりますが、決して悪徳不動産ならではの価格ではなく、現実的な価格といえます。一般的に、不動産屋さんの買取サービスは相場の7~8割の価格になることが多いです。

ちなみに、不動産屋さんの買取サービスは、リフォームしてから再販することで利益を得る仕組みです。今回のドラマであれば、全室の壁紙を貼り替え、キッチンやお風呂などの水回りの設備も替えて、リフォーム済みのリノベーション物件として、売り出そうとしたのでしょう。

買取サービスは慈善事業ではないため、不動産屋さんが納めなければならない税金や手間賃などを考えると、これくらいの価格差がなければ不動産屋さんに利益が出ないと言えます。

したがって、よほど売り急いでいなければ、特にマイホームなどの一般的な居住用の物件については、不動産屋さんによる買取サービスではなく、仲介を通じて一般の買い手(マイホームとして不動産を購入する方)が現れるまで待ったほうがよいでしょう。

相場(正常価格)は、現実の社会経済情勢の下で、売り急ぎや買い進み等を誘引したりするような特別なものではない取引によって形成されます。したがって、売り急いだ場合には相場よりも安い価格で取引される可能性が高くなりますし、ましてや不動産屋さんの買取サービスとなると、相場の7~8割の価格になってしまうことを覚悟しなければならないでしょう。

文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。

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