住宅購入のお金

【正直不動産2 第4話のあらすじをFPが考察】賃貸保証契約は実は入居者に不公平?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。1月30日の第4話の放送内容を踏まえ、お部屋を借りる場面で住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

執筆者:All About 編集部

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契約書

賃貸契約をしたいだけなのに賃貸保証契約もしなければならない?

ブラックなイメージが拭えない不動産業界。ドラマ「正直不動産」で描かれるような悪徳営業は本当にあるの?――。

山下智久さんが演じる、嘘のつけない不動産営業マン・永瀬財地が活躍する不動産業界のお仕事コメディーシリーズ第2弾「正直不動産2」(NHK総合)。

1月30日の第4話の放送内容を踏まえ、お部屋を借りる場面で住宅業界のここだけは気をつけたいポイントを確認していきましょう。

第4話の放送内容のおさらい、ネタバレ

登坂不動産の新入社員・十影(板垣瑞生)に初成約のチャンスが到来する。しかし、客は過去にカード事故を起こしており、これが原因で賃貸保証会社の審査が通らない。

その賃貸物件にどうしても住みたいという客の強い思いを知った永瀬と月下(福原遥)は、マンションのオーナーに再検討してもらうよう説得するが……。

賃貸保証契約とは?

今回の「正直不動産」は賃貸保証契約がテーマでした。部屋を借りる際、連帯保証人が不要となる賃貸保証契約の案内を不動産営業マンから受けたことがある方も多いのではないでしょうか。

賃貸保証契約はもともと、「お部屋を借りたいけど、連帯保証人を頼める人がいない」という入居希望者の悩みを解消するためのものでした。オーナーとしても賃貸保証会社が保証してくれることで安心して部屋を貸すことができるため、円滑な賃貸借契約を成立させるのに便利なシステムと言えます。

連帯保証人の代わりを賃貸保証会社が担うことで、万一賃料などの支払いが遅れてしまった場合にも、オーナーには賃貸保証会社から立替払いが行われるというメリットがあります。

賃貸保証は入居者に不公平な仕組み?

このように、賃貸保証会社の利用は本来、連帯保証人を探す手間や家賃滞納リスクを回避する代替手段であったにもかかわらず、賃貸物件の管理を行う不動産屋さん(不動産管理会社)の手間も省けるため、近年は賃貸保証会社を利用することが主流となっています。

たとえ連帯保証人を立てられる場合でも賃貸保証契約を結ばなければならず、入居希望者、オーナー、不動産管理会社の三者にメリットがあるのに、保証料(*)を負担するのは入居希望者のみという不公平感が生じています。

*保証料は、家賃の0.3~1カ月分を初期費用として払う、または毎月数百円程度を払うなど、保証契約の内容によります。

連帯保証人を立てられるなら賃貸保証契約は不要なシステムであり、入居希望者にとっては余計な保証料の負担がかかる厄介なものと言えるでしょう。もっとも、勤務先の上司や親族など、連帯保証人になってくれることを頼める相手がいない場合には、便利なシステムであることは否定できません。

マイホームを購入する場合の住宅ローンであれば、「自分は勤続年数が短いから、これを考慮してくれる金融機関の住宅ローンにしよう」などと、状況に合わせて審査される状況を選択できます。一方、賃貸の場合には、不動産管理会社、もしくはオーナーが賃貸保証会社を決めるため、必ずしも審査が通りやすい賃貸保証会社ではないこともあるでしょう。

今回の「正直不動産」では、永瀬や入居希望者がオーナーに直接交渉して、普段は利用していない賃貸保証会社で審査してもらえるようになりましたが、かなりまれなケースではないでしょうか。少なくとも、賃貸の閑散期の7~8月ならまだしも、賃貸の繁忙期の2~3月では、不動産営業マンからのまともな対応は期待できないかもしれません。

まとめ

賃貸保証契約は、入居者にとって保証料の負担というマイナス面があることを確認してきましたが、プラス面があることも事実です。

もともと、敷金や礼金は、家賃が滞納した場合などを想定して設定されるものであるため、賃貸保証が使えれば、余分に敷金や礼金をオーナーがもらう必要がなくなることから、敷金・礼金が少なかったり、敷金・礼金ゼロ円を打ち出したりする賃貸物件も増えてきました。

いずれにしても、賃貸保証会社を利用することが主流となった今、入居者に求められるのは、日頃の暮らしの中で生じるさまざまな支払いについて滞納しないことです。

特に、携帯電話料金は忘れがちであったり、これくらいは大丈夫ではないかという滞納の認識の甘さがあったりするため、注意が必要です。いかにささいな金額であっても支払いが遅れた事実には変わらないため、賃貸保証契約の場面ではマイナスとなるでしょう。

文:みちば まなぶ(ファイナンシャルプランナー)
大学卒業後、大手ハウスメーカーや不動産業者などを経て、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングを提案する1級FP技能士。

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