人前で夫をなじるのが「正義」なのか
ノリコさんは、妹のあまりの剣幕に「いったい、どうしちゃったの」と小声で言った。「ねえさんにも聞いてほしいわ。この人、いつもこうやって私がまじめに話をしているのを茶化すような真似をするの。私が言うことは些細なことで、自分がまともに受け止める話じゃないと思ってる。私をバカにしてるのよ」
妹は激しい口調でそう言った。義弟を見ると、「僕はまじめに受け止めていますけど、こんな場所でこういうことを言い出すほうがおかしいでしょ」と救いを求めるようにノリコさんを見た。
「確かにそうですよね。電車の中は公の場所だから、もっと声を小さくするか、別の場所で言ったほうがいいと思うと妹に言ったら、『どうしていつもそうやって、問題から目を背けるの』と。もうどうにもならないので次の駅で降りて、妹に食事に行くか行かないかと尋ねました。行くのなら気持ちよく行こうと」
妹が電車内で夫に詰め寄った理由
妹は急におとなしくなり、ため息をついた。私は家でいつもモラハラを受けているのに、誰もわかってくれないとも言った。「だから公の電車内で夫に詰め寄ったのだろうかと気になりました。ただ、義弟はどう考えてもモラハラなんてしそうにない。こっそり義弟に聞いたら、モラハラを受けているのは義弟のほうだというわけです」
その日は妹もレストランに着くまでに機嫌を直し、大ごとにはならずに食事を終えたが、ノリコさんは義弟の言動が気になっていた。
「その後、夫にも手伝ってもらって義弟にじっくり話を聞いたんです。義弟には妹の悪口雑言の録音をとるように助言しました。そうしたら妹のモラハラは本当にひどかった。『このろくでなし』とか『安月給のくせに何言ってるのよ』とか。挙句、子どもにも『お父さんみたいになりたくなかったら、ちゃんと勉強しなさい』と怒鳴っている」
妹は元々気が強い子だったけど、決して人をあんなふうに怒鳴る子じゃなかったとノリコさんは心を痛めた。それでも自分の妹だから、自分が話を聞くしかないと覚悟を決めた。
>妹の本音に、夫は衝撃を受けた!