同社の発表によれば、銀座カラーは同日をもって全店舗を閉店し、今後は脱毛サービスなど他サービスの一切を提供することができないとのこと。
突然の破産を受けSNSでは「うそでしょ……銀座カラー通ってたのに、一括でかなりの額を払ったよ」「まだ完全に脱毛終わってないんだけど。マジで萎える……」「少しだけでもいいからお金返して!」「詐欺じゃんこれ!」など数多くの悲痛な叫びが見られます。
すでに契約済みの施術の支払いはどうなるのか。法的観点から弁護士である筆者が解説します。
今後はどのように進む?
今後は裁判所によって選ばれた破産管財人が債務者の財産を金銭に換え、債権者に配当していく「破産手続」が行われます。その後、債務者の債務はなくなり、経済的に再起することが可能となります。分かりやすく言えば「債務を支払えなくてごめんなさい。残っている財産を現金化して皆さんに配ります。これ以上はもう支払えないので許してください」といったイメージです。なお、一般的には債権者に債権を届け出させ、破産管財人が配当できるか検討していきますが、エム社の破産管財人によれば、今回の場合は配当できるだけの財産がないと見込まれるため、債権の届け出は不要とのこと(執筆時点の情報)。
すでに契約済みの支払いはどうなる?
すでに契約済みのサービスの支払いについては、支払方法がクレジットカード決済の分割払いの場合、基本的には今後の支払いも必要です。クレジットカード会社は契約者に代わってすでにサロンに料金を支払っており、サロンが破産したからといって支払いを拒否できるわけではないからです。クレジットカード会社に対して「支払停止の抗弁書」というものを提出して支払いを止めることが考えられますが、支払いそのものをなくすことはできないとお考えください。また、まだ施術を受けていない分の一括払いした代金は、返還されることは難しいでしょう。もちろん返金されるか否かは今後の手続きの中で決まるわけですが、財産がないから破産しているわけですし、破産会社に残った財産からは税金や従業員の給料などが優先して支払われます。そうすると施術が済んでいない人への返金までは配当されないことが見込まれます。
万が一のときの損害を最小限に
現実問題として、サロンの経営状況を把握することは難しく、今回のように突然破産になったと知らされるため、基本的には予兆もありません。従業員にも通知されていないことがほとんどです。なので、事前に経営危機を察して契約をしないという対策は不可能でしょう。
そこで、仮に契約を締結するとしても、複数回の施術に先行して一括で支払わないようにする、未消化の施術が残っているうちは新たに支払わないようするなどの対策が考えられます。先ほど述べたように、契約しているサロンが倒産しても支払いは続きますので、万が一のことがあったときの損害を少なくする対策が必要です。
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