Q. 走るクマは“人類最速のアスリート”より本当に速いのか?
2023年に続き、日本各地でクマの目撃情報や人身被害が相次いで報告されている。SNS上にも国内外のクマの生態についてのさまざまな情報が公開されており、猛スピードで疾走するクマの動画もそのひとつ。実際、クマは時速何キロで走れるのだろうか。A1. 時速50キロにも! クマは“人類最速のアスリート”より速い
クマの走るスピードは時速50キロに達すると言われる。男子100m世界記録保持者として知られる“人類最速の男”ウサイン・ボルトが時速45キロメートル程度なので、クマが本気で走ればすぐに追いつかれてしまうだろう。クマにとって地の利がある山中や斜度のある地形では、興奮したクマから逃げ切れる可能性はほとんどない。
>クマが車に近づいてきたらどうすべき?
A2. 「木の上に登れば安全」も間違い
さらにクマは木登りも得意なので、「木の上に登れば安全」ということもない。クマは死骸も食べる動物であるため、「死んだふり」や「うつ伏せで急所を隠す」という対処法も効果は疑わしい。全てのクマが人を食べるために襲うわけではなく、基本は臆病な動物なので“驚かせた”結果の反射的な反応であったり、自らの身や子グマを守るために攻撃をしかけてくるのである。だからこそ、クマに対しては決して興奮させるような行動をとってはいけない。
大声で威嚇すれば興奮を助長させてしまう。また後ろを向いて逃げる動物を追いかけて攻撃する習性があるため、背中を見せて逃げるのも厳禁である。
多くの過去事例から考えられる有効な対処法
過去の多くの実例から、「目を合わせながら、ゆっくりと距離をあける」のが被害の確率を下げる有効な方法といえるだろう。クマの唯一の急所である鼻先を攻撃して生還できたという事例はあるものの、多くの一般人が成功する確率は低い。何よりも目撃情報のある地域への入山を控えるということが、唯一確実な回避方法であると述べておきたい。
※参考:知床財団「ヒグマ対処法」
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