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「業務能率が低下する」お悩み第1位!経済損失3兆円規模の「肩こり」を放置し続けてしまう理由

仕事中に「肩こり」を自覚する人は5割超、その経済損失は「兆」の規模になるとか。社会人の多くが抱えるお悩みについて、パナソニックが行ったアンケート結果をふまえながら早稲田大学スポーツ科学学術院教授と一緒に見ていきます。

執筆者:All About 編集部

肩こり「放置者」が多いのはなぜ?

仕事中に肩こりを感じる人は52%も!

パナソニックが20~50代の男女1034名に行った肩こりに関する調査では、「何らかの健康上の要因によって、仕事中の業務の能率が落ちていると感じることがありますか?」という質問に、66%もの人が「ある」と回答をしています。
 

働く人の過半数が「肩こり」を感じている

さらに「仕事中に感じたことがあるものを教えてください」という質問には、肩こり(52%)
、睡眠不足(48%)、疲労感(44%)と、約半数の人が「肩こり」を感じたことがあると答えています。
 
 

肩こりの経済損失は約3兆円にものぼる

アンケートの結果について、座りっぱなしの悪影響とその対策について研究する早稲田大学スポーツ科学学術院教授・岡浩一朗先生の解説を交えて、さらに見ていこうと思います。

「厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、肩こりがあると答えた人の割合は、長年にわたって1位や2位と上位にランクインしています。肩こりや腰痛などを含めた慢性疼痛による勤務時間の損失は、1週間で平均4.6時間にものぼり、過去に就労者1万人を対象に行われた調査では、肩こりなど首周り関連の不調による経済損失は、なんと約3兆円にものぼる見込みです(※1)」(岡先生)

肩こりで3兆円とは、驚きの数字ですよね。
 

肩こりは「放置」する人が45%、最多理由は「面倒だから」

アンケートでは肩こりを感じる時間についても聞いていますが、それによると「夕方(15時~18時)」(47%)、「昼過ぎ(正午~15時)」(29%)と、業務時間の経過とともに増加。「連続して長時間同じ姿勢での作業」(66%)を原因にあげる人が多いようです。
 
「長時間のデスクワークとその時の姿勢の悪さや座りすぎによるものではないかと考えられています。さらには、スマートフォンの利用による眼精疲労やストレートネックなどにより血流が悪くなることも原因として挙げられるでしょう(※2、3)。

機械化や自動化が進んだことにより日常生活は便利になったものの、年齢、性別を問わず肩こりを感じている人が増えていて、国民全体の現代病ともいえますね。

また、在宅勤務では低いテーブルで作業している人も多いのではないでしょうか? その場合は、頭が前方に倒れ、背中は丸まり、骨盤は後傾し、背部への負担が増えてしまいます。その結果、筋肉がこわばって血流が悪くなってしまい、夕方までにはひどい肩こりを感じてしまうこともあるでしょう」(岡先生)

コロナ禍以降、在宅勤務が増えたのに伴って肩こりがひどくなったと感じておられる人もいるということかもしれませんね。

それでいて「肩こり改善のために対策を行っていますか」という質問では、「対策をしている」(52%)、「対策をしていない」(45%)と、回答が二分する形になりました。

この結果に関しては年齢別に見たデータがあるのですが、「積極的に対策をしている」と回答した内訳は、やや意外な結果に。50代(8%)が最も少なく、40代(11%)、30代(15%)、20代(18%)と続きます。お若い人ほど「積極的に対策をしている」という結果になるのです。

ちなみに対策していない人があげた最多回答は「面倒だから」(36%)でした。
 

肩こり対策に毎月1万円以上かける人は約2割も!

肩こり対策に「費用はかけていない」が最多の25%である一方で、毎月1万円以上かけている人も約2割(19%)いることから、肩こりを深いお悩みと認識している人も少なくないようです。
肩こり対策にかける費用
整体院や鍼灸医院で定期的にケアするなど対策はさまざまありますが、肩こりが辛いときにすぐできて継続しやすいという点ではエクササイズなど自宅でセルフケアも習慣化できるとよさそうです。

わかってはいるけど“面倒くさいの壁”を乗り越えられない人には、ストールのようにさっと肩に羽織るだけのケアグッズもあるようです。仕事中だけでなく、外出時もトップスの下に羽織って、移動中も肩こりにアプローチできるとは、ずぼら心をくすぐられます。
手軽さでケアグッズを選ぶなら「コリコラン」もそのひとつ。肩からストールのように羽織るだけだから継続できそうです。ブラック(画像)と、グレージュの2色展開です。

手軽さでケアグッズを選ぶなら「コリコラン」もそのひとつ。肩からストールのように羽織るだけだから継続できそうです。ブラック(画像)と、グレージュの2色展開です。

日常的なストレスが少しでも改善できるように、最新技術が詰まったケアアイテムのなかから自分らしく続けられる相棒を探してみましょう。

<監修>岡 浩一朗さん
早稲田大学スポーツ科学学術院教授。博士(人間科学)。ベイカー心臓病・糖尿病研究所のネヴィル・オーウェン教授とともに、座りっぱなしの悪影響とその対策について共同研究中。著書に『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』(ダイヤモンド社)『「座りすぎ」が寿命を縮める』(大修館書店)など。

<出典>
※1 Yoshimoto T, Oka H, Fujii T, Nagata T, Matsudaira K. The economic burden of lost productivity due to presenteeism caused by health conditions among workers in Japan. J Occup Environ Med, 2020; 62: 883-888.
※2 Mazaheri-Tehrani S, Arefian M, Abhari AP, Riahi R, Vahdatpour B, Baradaran Mahdavi S, Kelishadi R. Sedentary behavior and neck pain in adults: A systematic review and meta-analysis. Prev Med, 2023; 175: 107711.
※3 Dzakpasu FQS, Carver A, Brakenridge CJ, Cicuttini F, Urquhart DM, Owen N, Dunstan DW. Musculoskeletal pain and sedentary behaviour in occupational and non-occupational settings: a systematic review with meta-analysis. Int J Behav Nutr Phys Act, 2021; 18: 159.
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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