人間関係

22歳「年の差婚」の生易しくはない現実。老いた夫を「おじいちゃん扱い」する世間にモヤッ(2ページ目)

36歳のとき、58歳の男性と結婚、あれから9年。夫はすでに67歳だ。一家でいると世間は夫を「おじいちゃん扱い」してくる。家では「年寄り扱いするな」と癇癪をおこすように。夫が高齢になったときの現実はなかなか厳しい。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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67歳、夫の背中が丸くなってきた……

現在、夫は67歳になった。60歳でいったん退職し、その後、嘱託として前職場で仕事を続けてきたが、それも65歳で退職し、今は飲食店で清掃などのアルバイトをしている。2度目の退職以降、やはり夫には「老い」の影が見えるとマリさんは言う。つい先日、夫が歩いている姿を少し遠目に見かけたとき、背中が丸くなっていると実感したのだ。

「考えてみたら、私は夫の40代をまったく知らない。つい先日、学生時代の友人たちと会ったんですが、みんな40代、まだまだ血気盛んというか元気です。夫にこのエネルギーはもうないなあと思ったら、なんとなく寂しくなっちゃって……。一生懸命、働いている夫には感謝してるけど、このごろ何をするにもゆっくりだし」

近所に住む知人は、70歳になったがはつらつとしている。そういう人と夫を比べても意味がないとわかっていながら、最近、マリさんは夫と同世代の男性を見ると、足元はしっかりしているか、背中は丸くなっていないかチェックしてしまうのだという。

年齢を意識して「年寄り扱い」を嫌う夫

「夫自身、自分の老いを実感しているんだと思います。以前は穏やかだったのに、最近、ときどきかんしゃくを起こすんですよ。別に認知症になっているわけでもない。ただ年を取ったら忘れっぽくなるのはしかたがないでしょ。以前だったら、『お父さん、また忘れた』と言うと『そうだそうだ』と笑っていたのに、最近は『忘れてない! 年寄り扱いするな』って。なるべく、年齢のことは言わないようにしていますが、それは逆に言えば、夫が年齢を意識しているからなんですよね」

年のことは言わないよう意識しているが、意識すればするほど心の中では気になっていく。9歳になった娘のことは今も溺愛しているが、娘は陰で「おとうさん、口が臭いんだよ」と言っている。歯科医のチェックを受けるよう勧めているが、夫は虫歯はないと頑固に拒んでいる。

「おおらかだった夫が怒りっぽくなった。年とると性格も変わる人がいると聞きますが、夫がそうなのかもしれません。認知症の前兆かなと思うこともあるけど、なかなか言えませんしね、そういうことは」

結婚を「失敗だったとは思わないけど」

もっと寄り添って歩いてきた年月が長ければ、そういうこともさらりと言えるのかもしれないが、結婚して10年も経っていないせいか、マリさんには遠慮がある。

「結婚を失敗だったとは思ってないけど、これでよかったのかな、このままでいいのかなとは思うことがありますね」

今さら別れるわけにもいかないけどと、彼女は複雑な表情で考え込んでいた。

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