シングル低所得は貯蓄ゼロが半数近く
いざという時のためにある程度の貯蓄は持っておきたいもの。とはいっても、金融資産を全く持たない「貯蓄ゼロ世帯」が増えているようです。貯蓄ゼロだと、急な出費や失業等ちょっとしたトラブルで家計破綻に陥ることも。そこで、金融広報中央委員会が調査した「家計の金融行動に関する世論調査(2022年)」より、貯蓄ゼロの実態をみてみましょう。
単身世帯での年収、年齢別の金融資産非保有割合(%)。50%以上を赤、30%以上を青で色付けしている。どの年代でも収入が低いと貯蓄ゼロが半数程度に。「-」は該当者が10未満、データを表示していない(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査2022年)」)
収入なしの単身世帯をみると、20歳代から50歳代の現役世代で「貯蓄ゼロ」が50%以上という結果に。特に20歳代は78.5%と4分の3が将来のために貯蓄をしていないということに。また、年収300万円未満だと、すべての世代で貯蓄ゼロ世帯が30%以上います。貯蓄ゼロの人は、低所得者層に多くなっています。高所得者でも貯蓄ゼロが30%や50%を超えているところがありますが、回答総数が少ないので参考程度でみておくとよいでしょう。
「20歳代で年収300万円未満の単身世帯」の半数近くが貯蓄ゼロ!
特筆すべきは、20歳代の年収300万円未満の46.3%が貯蓄ゼロということ。半数近くが貯蓄ゼロです。収入あり20歳代単身世帯の60%程度が年収300万円未満となっていますから、多くが貯蓄できていないと考えられます。さらに、年収が上がった「年収300万~500万円」も、貯蓄ゼロが20歳代で25.4%、30歳代で24.1%ですが、40歳代や50歳代では30%を超えており、年収500万円未満ではどの年代でも厳しい状況になっています。
年収500万円を超えるとどの年代も貯蓄ゼロの割合は減っています。20歳代、30歳代では年収300万円以上、40歳代、50歳代では年収500万円以上が、貯蓄ができるポイントのようです。まずは、どの年代も収入が安定しないと貯蓄は難しいようです。
ファミリー層でも年収300万円未満で貯蓄ゼロは多い
2人以上世帯での年収、世帯主年齢別の金融資産非保有割合(%)。50%以上を赤、30%以上を青で色付けしている(出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯調査2022年)」)
ファミリー世帯でも、年収300万円未満は貯蓄ゼロの割合が多くなっています。300万円未満では全世代で30%以上、年収300万~500万円では40歳代まで30%以上が貯蓄ゼロ。特に20歳代では、年収500万円まででも、40%以上が貯蓄ゼロと、貯蓄ができていない様子がわかります。
また、50歳から60歳代でも、貯蓄ができていない世帯がいます。年収500万~750万円でも2割前後が貯蓄ゼロ。年収750万円を超えても1割強が貯蓄ゼロとなっており、収入が増えれば、全世帯が貯蓄をできるということではなさそうです。
年収1000万円超えのファミリー世帯でも貯蓄ゼロあり
年収が増えると貯蓄ゼロ世帯は減ってはいくものの、年収1000万円以上のファミリー世帯でも、あらゆる世代で一定数、貯蓄ゼロ世帯がいることがわかります。高収入でも支出が多く、毎月の収支が赤字という世帯もあります。年収300万円未満でも半数以上が将来に向けて貯蓄をしています。貯蓄をする意思があるかが大切だといえるでしょう。
所得アップと先取り貯蓄が、貯蓄ゼロ脱出の道!
このようにみてみますと、貯蓄ゼロとなる理由は2つあるといえるでしょう。1つ目は、低収入。やはり年収300万円未満では大半が生活費に消えてしまい、将来を見据えた貯蓄まで回らないのでしょう。収入が低すぎる場合は、会社で許可されているのであれば副業や転職などで収入アップができればよいですね。
2つ目は、収入が増えただけ使ってしまう状態。高収入でも貯蓄ゼロの世帯があることからもわかります。高収入でも支出が多ければ手元にお金は残りません。まずは先取り貯蓄などで、将来や老後に備えつつ貯蓄をすることを習慣にしましょう。