人間関係

母といちゃいちゃしない“ヨシキくん”は何者?奇妙な同居生活を通して母に嫉妬された中学時代

父と離婚をしたあとの母は、スナックで働いていた。そのときに家に居ついた若い男性にはよく面倒をみてもらっていた。最終的には母に追い出されて出て行ったが、その時に母から言われて傷ついた心は今も癒えていない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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事実婚や同性同士による同居など、結婚の形態が変わっていくにつれ、血縁関係のないステップファミリーも増えていく。日本では、どうしても血縁関係を重視しがちだが、決してそうではないケースもある。
母にいわれた言葉で傷ついた心はいまだに癒えない

母に言われた言葉で傷ついた心はいまだに癒えない

小学生のころ、母が離婚した

小学校に上がるころ、両親が離婚したというナオミさん(36歳)。母とふたりきりの生活になってからも、父親が大好きだったナオミさんは「おとうさんに会いたい」と泣いた。そしてときどき、父とふたりで会う時間ももてるようになった。

ところが小学校5年生のころ、家に帰ると見知らぬ男性が来ていた。

「若かったですよ。アパートの隣に学生さんが住んでいたけど、その人と同じくらいの年齢なんじゃないかと思ったくらい。母は、その見知らぬ男性を『おかあさんの友だちのヨシキくん』と紹介したんです」

ナオミさんはちらりと上目遣いで彼を見たが、彼はナオミさんを見ようとはしなかった。その日から、ときどきヨシキくんが遊びに来るようになった。

「そのころ母はスナックで働いていました。酔っ払って帰ってくることもあったし、ヨシキくんが抱えるようにして帰ってくることもありました。私は寝たふりをしていたけど、ヨシキくんはいつもテーブルの上に、私の好きな果物やお菓子を置いていってくれた」

学生にしか見えない“ヨシキくん”と母の関係

そのころ、母とヨシキくんがどういう関係だったのかナオミさんはよく知らない。当時、30代後半の母は、彼に気持ちがあったのだろうが、若い彼がどう思っていたのかはわかりようがなかった。

「ヨシキくんは泊まっていかないし、母といちゃいちゃもしない。母が一方的に思いを寄せていたのかもしれませんが、それでも私が中学に上がるころには、なぜかヨシキくんがいつも家にいるようになったんです」

彼は夜勤の仕事をしていたから、夕方から出かけて朝まで帰ってこない。入れ違いにナオミさんは学校へ行く。母は変わらずスナックで働いていたが、ナオミさんの夕飯だけは作ってくれた。

「ある日、学校から帰ったらヨシキくんがひとりで家にいたんです。なかなかゆっくり話す機会もなかったから、私は彼に馴染めなかった。するとヨシキくんが、『ナオミちゃんは食べ物では何が好き?』と聞いてきた。おでんと答えたら、よし、じゃあ作ってあげるよって。一緒に買い物に行って帰ってきて、ヨシキくんがものすごくおいしいおでんを作ってくれたんです。その日は仕事が休みだったそうで、そのとき初めて、彼が母より15歳年下だと知りました」

ヨシキくんは優しかった。ナオミさんの宿題も見てくれた。その日を境に、ナオミさんはヨシキさんへの警戒心を解いた。

>母に言われたショッキングな言葉
 
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