ひどい歯痛のときに夫が……
「奥歯の根が炎症を起こして、ひどい目にあったことがあるんです。数日間、痛かったけど仕事と家のことで忙しくて歯科医に行けなかった。そしてある日起きたら、おたふく風邪みたいに右の下顎が腫れ上がっていました。人相が変わるほどで、子どもたちがギャッと叫びましたからね(笑)」そう言うのはマサミさん(40歳)だ。小学生2人の母であり、フルタイムで会社で働いてもいる。痛くても痛いと言って寝ているわけにはいかないのが、忙しい女性の「あるある」だろう。
「とりあえず会社に行ってから近くの歯医者に行ってみることにして、子どもたちの朝食の準備などをしていたんです。そこへ夫が起きてきたんですが、私の顔を見ても、気のない声で『おはよう』と言うだけ。10歳の娘に、『ママの顔見た?』と言われてようやく気づいたみたいです。『どうしたの?』というから歯が痛いと言ったら、夫は『ああ、オレも数日前から歯が痛いんだよ。このままだときっと化膿してとんでもないことになるような気がする』って。『いや、まさに私が今、その状態なんですけど』と思わず言いましたが、夫はその後も自分のことばかり」
結局は自分のことばかり話す夫
娘が見かねて、「パパ、ママは今、痛がってるんだよ」と言うと、ようやく夫の「オレも歯が痛くて」は止まった。夫はいつもそうやって、マサミさんが言ったことを「オレも~」と口にして、そのまま自分の愚痴へとつなげていく。結局、いつだって自分のことしか話さないよね、人の話を聞くことができないんだねと嫌味を言ったことがあるのだが、夫にはピンとこなかったようだ。
「いったい、どうやって会社で周りとコミュニケーションをとっているんでしょうね。きっと周囲からうっとうしがられるオジサンと化しているはず。夫に自分の話はしないようにしているんですが、あれだけ顔が腫れていたら、少しは労ってもらえるのではないかと思っていました。甘かったです」
期待した自分が浅はかだったとマサミさんはつぶやいた。そういう妻の声はせつない。
>自分の親の心配ばかりしないでくれという夫