こんな人だっけ? と思った日
結婚して25年。53歳になったハルコさんは、このところの夫の言動に納得がいかないという。夫は58歳。ふたりの間には就職して独立した長女と、遠方に住む大学生の長男がいる。「急にふたりきりの生活になって、なかなか慣れませんでしたが、いろいろ話し合って、またふたりで楽しもうということになった。夫は昔の友だちに会いに行くようになり、私も学生時代やパート先の友人たちとのつきあいに積極的になりました。そのうちお互いの友人たちと一緒に会うようにもなってきたんです」
今年の夏は、お互いの親しい友人たちと、さらに友人の友人まで含め、総勢40人ほどで場所を借りてバーベキュー大会をした。
「いろいろ賞品を持ち寄ってビンゴをしたり、子連れの人にはお菓子を配ったり。ホストは私たち夫婦だったから、忙しかったですよ。ようやく一段落したとき、夫は自分の友人たちを紹介してくれました。だけどそれがねえ」
友人を紹介する夫の言い方が非常識
ハルコさんは急に渋い表情になった。夫は久しぶりに大人数で集まって気持ちが高ぶっていたのかもしれない。だがその紹介の仕方は、ハルコさんの“常識”を越えていた。「夫と同世代の男性ふたりを紹介してくれたときに、『彼は経営者なんだ。とにかくお金を持ってる。すっごい金持ちなんだ』とお金を強調。紹介された人もニヤニヤしていて、なんとなく傲慢な感じなんですよ。次にもうひとり紹介したときは『こいつは女にモテるんだよ。オレより年上なのに、すっごい精力で女を喜ばせるらしい。いっつも愛人がふたりくらいいるんだ』って。本当にその人を尊敬しているようにいうんです。
私はいきなり不快になって、『そんなこと妻に言う?』と夫を睨みつけました。すると経営者のほうが『奥さん、怖いなあ』、モテ男は『奥さん、ダンナに喜ばせてもらってないの?』って。どっちも最低でしょう? それなのに夫は『ね、このふたり、いいでしょ』って。夫の友だち選びのセンスを疑いましたね。ろくな人間と会ってないんだなと」
夫との25年が走馬灯のように脳裏を駆け巡ったとハルコさんは苦笑する。
>こんな男と長年暮らしていたのかと結婚生活を振り返る