耳・鼻・喉の病気

Q. 耳掃除を全くしないとどうなりますか?

【耳鼻科医が解説】「耳掃除をしてはいけない」と言われても、耳垢を放置するのも心配です。耳の中がかゆくなったり、聴こえが悪くなったりすることはないのでしょうか? 「耳掃除はしなくてよい」というのは嘘なのか、耳掃除をしない場合のリスクや注意点などを解説します。

坂田 英明

執筆者:坂田 英明

耳鼻科医 / 耳・鼻・喉の病気ガイド

Q. 耳掃除を全くしないとどうなりますか?

耳掃除

耳掃除を自分でしてはいけない!? 耳垢は溜めたままでも大丈夫なのでしょうか?


綿棒や耳かきを使って自分で耳掃除をするのはよくないと聞いたことがある人は多いと思います。では、耳垢はそのまま放置し続けてもよいのでしょうか? わかりやすく解説します。

Q. 「耳掃除を全くしないとどうなりますか? 耳垢は勝手に出てくると信じて、そのまま放置していても大丈夫なのでしょうか?」
 

A. 耳掃除はしてはいけませんが、耳垢の放置もいけません。バランスが大切です。

耳の中は、原則として「いじらない」ことが大切です。耳垢が溜まったときは取ってもかまわないのですが、これはあくまで塊などが外から見えた場合です。できれば自分で取るのではなく、誰かにピンセットのようなもので、安全に除去してもらうのがよいでしょう。基本的には、耳鼻科で除去してもらうのが一番です。耳掃除は原則として、自分でしてはいけないと考えましょう。

一方で、高齢の方、中耳炎などの手術をした方、湿った耳垢が多い方は、耳の中の衛生状態を保つために、適切な耳掃除をする必要があります。ケアのアドバイスをしてくれる方や主治医に、どうすればよいかを相談しましょう。

また、耳掃除をしてはいけないからといって、耳垢を1年以上もの長期間、そのまま放置してはいけません。耳垢が溜まりすぎると、耳の聴こえが悪くなったり、場合によっては外耳炎などを起こしたりすることがあります。ひどくなると、耳の中がかゆくなるだけでなく、炎症が悪化して耳だれが出てくることもあります。さらに真菌(カビ)や緑膿菌などが発生し「悪性外耳道炎」になることもあります。悪性と言っても癌ではありませんが、治療期間もかなり長くなりやっかいな病気です。

どんなことでも、しすぎとしなさすぎはよくないということです。「耳掃除をしてはいけない」というアドバイスと、「耳垢を溜めすぎてはいけない」というアドバイスは、矛盾していると感じられるかもしれませんが、耳の健康を保つためには、絶妙なバランス感覚が大事なのです。

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